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Interview 40 - がん放射線療法看護認定看護師

不安を取り除き、安心できる環境で
治療を継続してもらうために。

今後が期待される、がん放射線療法看護。

　京セラドーム大阪の横にある社会医療法人きつこう会 多根総合病院。この病院には、がん放射線療法看護の認定看護師である藤原真喜子さんが働く高精度放射線治療センターがある。がん放射線療法看護は、認定看護師が初めて誕生したのが2010年。現在、全国でも254名のみというまだ新しい看護領域である。
　がんに対する放射線療法の治療技術の進歩に伴い、放射線療法を受ける患者さんも増え、それをサポートする看護師のスキルが必要とされている。高い治療効果の期待できる放射線療法だが、その分、副作用やトラブルにも注意が必要だ。看護師には治療法の知識はもちろん、患者さんに対する専門的な視点からの看護ケアが求められる。藤原さんは、放射線療法を受ける患者さんを身近で看る機会が多く、『副作用を軽減したい、治療中の不安をひとつでも解消し、治療を完遂してほしい』という思いで、この資格を取得した。看護の歴史が浅い分、まだまだ分からないことも多いが、自分たちで切り開いている実感があるという。

治療前・中・後。継続して関われることがやりがい。

　放射線治療を選択するのは簡単ではない。『体に悪影響がおよぶのでは？』などの誤解も少なくないからだ。現在では照射量によって皮膚トラブルの発生範囲を予測することができるため、事前にケア対策を検討できるようになっている。正しい知識を患者さんに伝え、最良の選択をしてもらうのも、藤原さんの役目。最近は初診患者さんへの同席、治療中の定期面談、治療前後の看護外来への立会いなど、認定看護師として介入する機会も増えてきた。
　治療をしながら日常生活を送る中、倦怠感や眠気といった症状は、つらくてもなかなか言い出せず我慢してしまう患者さんが多い。「そこで大事なのが看護師の“勘”なんです」と藤原さん。表情や言葉の端々で気になることがあったら、話をし、励まし、治療を継続してもらうことが大切になる。この治療は、開始したら中断することが難しい。患者さんの思いを受け止め、沈みがちになるメンタル面もサポートしながら、最後まで完遂できた時のやりがいは大きいという。 「ずっとそばにおってくれたから頑張れた」。患者さんからのこの言葉が忘れられないと藤原さん。しかし、過去には「その態度が気に入らない！」などと叱責されたこともあると、未熟だった自分を振り返る。若い頃のそんな経験が、今の自分を育ててくれたと彼女は言う。放射線治療は終了しても晩期障害などの副作用が出ることもある。退院後も相手の立場に立って、説明や指導などを継続してサポートしていくことが必要だ。藤原さんはそのパイオニアとして後輩を育成する大きな役割を背負っている。

他職種との連携も重要。毎朝カンファレンスでは患者さんの情報を把握。また、毎月1回認定看護師が集まり情報交換などを行う

藤原 真喜子さん

2016年3月入職
外来・高精度放射線治療センター勤務

1日のスケジュール

8：45

他職種カンファレンス

9：00

①照射介助
②初診同席・面談
③CT介助・面談
④毎週定期面談

12：00

食事

12：53

日によって、①②③④を実施
（月）全体カンファレンス
（水）緩和カンファレンス
（金）症例カンファレンス

17：00

終業