先輩が語る分野別 看護の魅力

先輩が語る分野別 看護の魅力

「どんな看護師になりたいのか」を自分自身に何度も問いかけながら、就職活動を進めていく皆さん。先輩たちも悩みながら自分の理想の看護師像を思い描き、看護師として活躍の舞台に旅立っています。さまざまな分野で活躍している先輩たちに各診療や看護の特徴や魅力、印象に残っている言葉を語ってもらいました。先輩たちの声を参考に、ここからあなたの理想の看護師像を見つけてください。

Interview 10 - 感染看護
正しい知識に裏打ちされた看護で、
患者さんの不安を取り除く。

先輩に支えられ、3年で一人前の看護師を目指す。

 「感染症の病棟勉強会や先輩から教わった疾患に対する正しい知識をもって、標準予防策を徹底すれば、感染症は決して怖いものではありません」と語るのは、東京都保健医療公社荏原病院の感染症内科病棟で勤務する村上美土里さん。ここは病室と廊下の気圧差によって病室内の空気が廊下に流れることを防ぐ空調設備など感染対策が徹底された専門病棟である。患者さんは0歳〜90歳代と幅広く、主な疾患(平成24年度)は、感染性腸炎、帯状疱疹、インフルエンザ、B型C型肝炎などがある。これらの疾患の知識と正しい感染予防策など学ぶことはたくさんあるが、「感染の知識は仕事はもちろんですが、自分の生活にとても役立ちますし、ここで学んだことは他の病棟へ行っても必要だと思います」と村上さん。はじめはうまくできなかった点滴や中心静脈栄養の介助などがスムーズにできるようになった時、看護師としての手応えを感じられたという。
 村上さんが入職を決めた理由のひとつは、病院説明会で「3年間で一人前に教育する」という話を聞き、しっかりと知識と技術を身に付けられると思ったこと。今年3年目を迎えたが、まだまだ周りの先輩から見習うことも多く、奥の深い看護であることを実感している。

必要なのは患者さんからのサインを見逃さない観察力

 感染症病棟には様々な患者さんが入院してくる。聞き慣れない疾患に対する患者さんの不安は大きく、正しく説明をしても理解までに時間がかかることもある。突然「家に帰りたい」と言い出す患者さんもいるという。患者さんは表情や話し方、身振り手振りなどいろいろな形でサインを送ってくる。看護師はいつもアンテナを張り巡らし、非言語コミュニケーションを心がけることも重要だ。「パーキンソン病で会話が困難な方にずっと話しかけていたら、ある日ニコッと笑顔を返してくれたことがあり、疲れも吹き飛びました」という村上さんの経験からも分かるように、患者さんの笑顔に助けられることも多い。村上さんは患者さんが退院するときの笑顔を見ると、いつも良かったなぁとやりがいを感じる。
 また、退院しても全員が全員、自宅に帰るわけではない。他職種と連携しながらの退院指導も欠かせない。ご家族ともよく話し合い、ケアマネジャーやソーシャルワーカーと調整を図りながら地域で支えてもらえるように施設を紹介したり、医療保険の申請方法を説明したりする。このように感染症病棟だからと特別な看護が必要なわけではなく、どんな疾患・どこの病棟においても共通する基礎看護の知識や技術を身に付けたうえで、感染症看護という専門看護を正しく提供することが求められる。その教育期間の目安が3年、というわけだ。教育の大切さを知っている村上さんは「10年後は後輩の指導ができるようになっていたい」と目標を語ってくれた。先輩が後輩の指導をし、看護の質が保たれている。村上さんもいつか憧れの先輩へと成長していることだろう。

村上 美土里さん

村上 美土里さん

2011年4月入職
320(感染症内科)病棟勤務

心に残るひと言

全盲の方が感染症疾患で1ヵ月個室隔離されていた時のことです。その方は何も見えないうえに環境の変化からはじめはイライラされていたのですが、病室に伺うたびに声をかけていました。ある日、「あなたが来てくれたんだね。声ですぐにわかったよ、あなたが来てくれるととっても安心するよ」と言われた時には、とても嬉しかったです。退院時には気持ちも落ち着き、笑顔だったことをよく覚えています。

病棟での様子

まわりの先輩からは見習うことばかり、いつも相談にのってもらう。

1日のスケジュール

9:00
VS測定、内服薬、点滴準備
10:30
清潔ケア、検査準備
11:30
休憩
12:30
食事介助
13:30
体位変換などのケア
14:00
カンファレンス
14:30
処置、検査、記録
15:45
申し送り
16:30
体位変換などのケア
17:05
業務終了

東京都保健医療公社荏原病院

東京都保健医療公社荏原病院

〒145-0065 東京都大田区東雪谷4-5-10
担当/庶務課 庶務係 佐藤
TEL(03)5734-8000
http://www.ebara-hp.ota.tokyo.jp/
e-mail : masayo.satou1@tokyo-hmt.jp


明治31年に東京府世田谷村立隔離病舎として設立され、昭和9年から現在地で診療を開始。100年を超える歴史ある病院で都内でも有数の感染症内科病棟を備えている。赤痢・コレラの感染性腸管感染症の治療実績も多く、第一種感染症指定医療機関として指定されている。看護部でも毎年、パンデミックに備えて一類感染症患者受け入れ訓練やバイオテロ・新型(鳥)インフルエンザ等のシミュレーションを実施。平成21年に地域医療支援病院の認定を受け、『医療で地域を支える』という公的病院としてのミッションを遂行している。

ここの看護に注目!

感染症疾患に対する正しい知識をもって感染対策することや、マスク・エプロンなど標準予防策を徹底して行いながら、あらゆる年代の患者さんをケアする。罹患すると個室隔離となるため行動制限が生じ、不安になる方も多いので患者さんとその家族への精神的なケアも大切になる。

主要疾患:
感染性腸炎、帯状疱疹、インフルエンザなど

病院検索はコチラ

東京アカデミーの書籍販売ページへ 東京アカデミーの講座で使用する教材を販売中!

このページのトップへ