先輩が語る分野別 看護の魅力

先輩が語る分野別 看護の魅力

「どんな看護師になりたいのか」を自分自身に何度も問いかけながら、就職活動を進めていく皆さん。先輩たちも悩みながら自分の理想の看護師像を思い描き、看護師として活躍の舞台に旅立っています。さまざまな分野で活躍している先輩たちに各診療や看護の特徴や魅力、印象に残っている言葉を語ってもらいました。先輩たちの声を参考に、ここからあなたの理想の看護師像を見つけてください。

Interview 15 - 血液内科
今までの人生や個々の価値観を受けとめ、
その人らしさを尊重し、共にゴールを目指す。

血液という特殊な疾患への不安とストレスを解消。

 白血病や悪性リンパ腫に代表される血液内科では、患者さんに病名が告知されてから治療に入るまでの期間が短く、患者さんは突然の出来事に戸惑いを見せることも多い。「化学療法マニュアルを見せながら日常生活上で注意することなどを話しても、“見たくない”と言われる方もいらして、相手の心境をみながら対応しています」と、昭和大学病院の松田典子さん。患者さんやそのご家族は、病気を十分に受け入れられないまま入院されてくることも多いため、メンタルケアの必要性を感じているという。その後、治療の副作用で体調がおもわしくない状態が続く時には、「まず苦痛なこと、例えば熱や吐き気などを取り除き、時間のある時に気持ちを和らげながら話すようにしています」と言うように、心の体の両面からのケアが重要となる。
 患者さんの中には昨日まで社会の第一線で働いていた40〜50代の男性もいる。激変した日常生活を受け入れたとしても、「ご家族や仕事など背負っているものが大きい分、寡黙にもなられますし、女性には話しづらいことも多いので、傾聴するようにしています」と、患者さんへの気遣いも忘れない。

大切なのは、タイミングを見失わないこと。

 松田さんが日頃大切にしていることは、『自分が元気でいること』。病棟では学生指導やリーダー業務が多くなってきた分、自分が笑顔でいられることが重要であることに気づいたという。また、血液内科の看護では、『タイミングを見失わないこと』を心がけていると松田さん。患者さんの望むゴールはどこかが共有できていれば、その人らしさは何か、今何ができるか、何をしなければならないかなどはおのずと見えてくる。しかし、それらのタイミングがいつなのかを判断するのは、ベテランでも難しい。患者さんは寛解する方ばかりではなく、残された時間をいかにその人らしく充実した時間に変えられるかは、お互いの信頼関係があってこそ実現できる。松田さんが力を入れていることだ。
 「ある白血病の患者さんから限られた時間の中で、ひとつの相談をされました。その方は大変重い決断をされたにも拘わらず、最後に“あなたに相談して良かった”と言ってくださり、今までにはない看護ができたのかなと思えました」と。患者さんが難しい選択を目の前にした時、話したくなるような存在でいたいという。心の奥に刻まれたその患者さんとの出来事は、松田さんをさらに強く成長させてくれたに違いない。「つらいこと、嬉しいことはたくさんあります。しかし一つひとつの出会いによって感性が磨かれ、心豊かにしてもらえます。人の人生に関わることは難しいことですが、それができる看護師はとても素敵な仕事だと思います」と話す松田さんは、今日も患者さんからの相談を親身になって聞いていることだろう。

松田 典子さん

松田 典子さん

2004年4月入職
入院棟10階内科病棟勤務

心に残るひと言

ある患者さんが骨髄移植をするかどうかを悩まれていて、私に「あなたならどうする?」と聞かれたことがあります。咄嗟にお返事をすることはできなかったのですが、どちらの選択においてもどのようなメリットとデメリットがあるかをお話しました。最終的にはご本人が決めた道を歩まれたのですが、経過をたどる中でとても満足されている様子が伺えました。最後の最後に「私の生きた証です」と書いた紙を渡され、素晴らしい出会いができたことに感謝しました。

カンファレンスの様子

自分の行動や発言が正しかったかどうか不安な時は、病棟スタッフたちとのカンファレンスで相談する

1日のスケジュール

9:00
申し送り


10:30
部屋まわり
(バイタルサイン、ケア、処置等)


12:00
昼食
(12:00〜14:00の間で交替制)
食事の介助


14:00
部屋まわり
(バイタルサイン、ケア、処置等)


16:00
記録
17:00
申し送り


昭和大学病院

昭和大学病院

〒142-8666 東京都品川区旗の台1-5-8
担当/統括看護部
TEL(03)3784-8646(直)/フリーダイヤル 0120-703831
http://www10.showa-u.ac.jp/~kangobu/
e-mail : t-kango@cmed.showa-u.ac.jp


1928年に昭和医学専門学校附属医院として開院。その後1946年に昭和医科大学病院、1964年に昭和大学病院に名称変更し、現在に至る。東急池上線『旗の台駅』から見える地上17階地下3階建ての入院棟、その隣にあるのが中央棟。私立大学病院の本院として、特定機能病院や地域がん診療連携拠点病院の認定を受け、1日の平均患者数は外来1,564人、入院685.8人(2012年実績)と、我が国の高度先進医療を支える大学病院のひとつである。

ここの看護に注目!

血液内科の疾患を患っている患者さんは、もともと免疫力が落ちており易感染の方が多いため、感染予防には特に力を入れる必要がある。同院では感染管理の認定看護師が中心となり、年に1回手洗いキャンペーンが行われており、参加した患者さんからは「しっかり手洗いしていたつもりだけれど、実際にやるとよくわかる」と、評判もよい。

主要疾患:
白血病、悪性リンパ腫 など

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