先輩が語る分野別 看護の魅力

先輩が語る分野別 看護の魅力

「どんな看護師になりたいのか」を自分自身に何度も問いかけながら、就職活動を進めていく皆さん。先輩たちも悩みながら自分の理想の看護師像を思い描き、看護師として活躍の舞台に旅立っています。さまざまな分野で活躍している先輩たちに各診療や看護の特徴や魅力、印象に残っている言葉を語ってもらいました。先輩たちの声を参考に、ここからあなたの理想の看護師像を見つけてください。

Interview 12 - 周産期看護
身体的、メンタル的変化を常に意識し、
個別性のある看護で支援する

個別性に配慮した看護を行う。

 助産師の三輪尚子さんが勤務しているのは、筑波大学附属病院。世界有数の学術・研究都市としても名高いつくば市に位置する同院へは、大勢の方が来院する。「総合周産期母子医療センターということもあり、いろんな方がいます。さまざまな疾患を持つ妊婦さんや褥婦さんがいるため、その方が併せ持つ疾患を理解し、疾患に対する検査や治療が円滑に進められるよう援助することと産前産後の生活を支援することを同時に行っていくことが難しいと感じます」。
 さまざまな症状を持った妊産褥婦の激動する身体的変化やその時々の精神面に合わせたケアは、女性のライフイベントに関わる助産師として重責を担うだろう。しかし、「やりがいもたくさんあります。長い時間をかけてやっと児が産まれた時や二人目を産みに来てくださった時はやっぱり嬉しいですね」と三輪さん。妊娠期にMFICUから産科に移動し出産、その後NICUやGCUに子どもが入り産褥期を過ごす方も少なくないという。「当院は、同じフロアにMFICUやNICU、産科病棟がありますので、例えば切迫早産で不安のある方には、実際にNICUがどんなところなのか自分の目で確かめてもらっています。安心して出産できるようなメンタル面でのフォローは欠かせません」。
 さらに、週に何度か外来にも出ている三輪さんは、「切迫早産で入院し、状態が安定後退院。その後外来でお会いし、出産時の入院をサポートすることもあります。また、産後の母乳外来や母親学級での指導も行っています」と外来と病棟を行き来することで、妊娠期から産褥期まで、もしくは外来から入院、一ヵ月検診まで一貫した看護を提供することができるという。

自分の視野をもっと広げてスキルアップしていきたい。

 「先輩助産師は、産婦さんとの空気づくりがすごいので見習いたい」という三輪さんは入職して3年目。お産とは本来産婦自身が主体となって取り組むもの。『自分の力で産むことができた』と思ってもらえるよう支援することが、その後の育児への自信につながるという。だからこそ、母親となる女性たちが安心して出産に臨めるよう、アセスメントをしっかり行い、妊産婦が本来持っている『産む力』を引き出すことに力を入れている。「先輩方は、いろんな経験をし、そしてよく観察されています。それがとても正確だからこそ状況に応じた行動ができるのかもしれません」。先輩たちの凛とした姿を目の当たりにし、どんな時でも質の高い看護を提供することがとても重要だと感じている三輪さんは、「もっと視野を広げて自信を持ち、今何をすべきかという判断力を身に付けたい」という。わからないことや疑問に思ったことは先輩たちに相談し、その都度解決するよう心がけ、スキルアップすることも忘れていない。
 母親と子どもの命を同時に預かり、急を要する対応を求められることも多く、目まぐるしく変わる状況の中での重圧は計り知れない。「お産はとても痛くて不安になったり、出産後も悩みが出てくることもあると思います。ですが、お母さんたちには、妊娠・出産という時期をネガティブに捉えるのではなく、良い経験をしたなと思ってもらえると嬉しいですね」。出産後の母親にとって一番重要なのは、赤ちゃんと一緒に家に帰ってこれからどう子育てをしていくかということ。妊産褥婦の個別性を重視し、妊娠・分娩・産褥の各期に合わせた対応をしながら、出産後の育児のことも考えケアすることが助産師の大切な役割だと言えるだろう。

三輪 尚子さん

三輪 尚子さん

2011年4月入職
けやき棟5東(産科)病棟勤務

心に残るひと言

以前は、母乳で悩んでいる産褥婦さんに「こうしたらどうか」という指導を行っていましたが、先輩助産師からの「指導ではなく、常にその方が自分自身で考え、自分に合った答えを出せるよう導くことが重要だと思うよ」という言葉にハッとしました。改善策としてアドバイスしたことが、できなかった時にはもっとストレスになっていたということに気づかされました。今ではいくつかの方法を提示し、選択してもらったり、一緒に考えて答えをみつけてもらうようにしています。

カンファレンスの様子

身体だけでなく、心の変化にも気をつけているためカンファレンスは欠かせない

1日のスケジュール

8:00
申し送り


8:30
体重測定、挨拶、初回ラウンド、リーダーとの調整


9:00
カルテと母子手帳の記録・計測、診察介助、生活指導、助産師外来


9:30
授乳、育児指導、母乳相談


11:30
リーダーとの調整、母乳外来、育児指導、母乳相談


16:00
申し送り


筑波大学附属病院

筑波大学附属病院

〒305-8576 茨城県つくば市天久保2-1-1
担当/総務部総務課 看護職員募集担当
TEL(029)853-3512・TEL(029)853-3514
http://www.hosp.tsukuba.ac.jp/
e-mail : byouin-jinji@un.tsukuba.ac.jp


2005年6月に茨城県より『総合周産期母子医療センター』として指定され、現在茨城県の周産期医療の中核施設として機能している。妊娠から分娩、その後の新生児期の管理までを1つの集中治療ユニットで行い、また各診療科専門医との連携も従来以上に強化されている。総合周産期母子医療センターには、1年を通して24時間、産科医が2名、小児科医(新生児専任)が1名常駐し、また院内には小児科医、小児外科医、麻酔科医も各2名常駐している。このように、年間を通じて休日夜間に関わらず、常に高度で最新の周産期医療を安全に提供できる体制が整備されている。

ここの看護に注目!

切迫早産のケアは日常生活の支援が中心となるが、長期の入院となるため、メンタルのフォローや出産準備の援助が必要となる。また、合併症を持ちながら出産・子育て期に入らなければならない女性が多く、疾患だけではなく、生活背景、家族のサポート状況、児の状態を考慮してケアを進めている。

主要疾患:
切迫早産、胎児発育不全、妊娠高血圧症候群、合併妊娠(婦人科疾患、循環器等)

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