先輩が語る分野別 看護の魅力

先輩が語る分野別 看護の魅力

「どんな看護師になりたいのか」を自分自身に何度も問いかけながら、就職活動を進めていく皆さん。先輩たちも悩みながら自分の理想の看護師像を思い描き、看護師として活躍の舞台に旅立っています。さまざまな分野で活躍している先輩たちに各診療や看護の特徴や魅力、印象に残っている言葉を語ってもらいました。先輩たちの声を参考に、ここからあなたの理想の看護師像を見つけてください。

Interview 31 - 小児看護
急変の危険性を常に頭に置き
子どもの言葉以外のサインを見逃さない。

データだけでなく少しの様子の変化も大切に。

 主に0〜15歳、再発の場合は20歳くらいまでの小児がんや再生不良性貧血などの疾患を持つ子どもたちが入院する、埼玉県立小児医療センター内科第一病棟(血液腫瘍科)。子どもが大好きで、学生の頃からここで働きたいと思い、この病棟に入職した野上桃さんは、「つらい治療を受けながらも、状態がいい時にはニコニコと元気にがんばっている子どもたちから、毎日パワーをいただいています」と言う。
 その言葉どおり、プレイルームには、点滴ポールを母親や保育士に持ってもらい、遊びに熱中する子どもたちの姿があった。重篤な疾患があっても状態が安定していれば、子どもたちはじっとしていないし元気にも見える。しかし、この病棟で働く看護師は、患者さんがまだしゃべれなかったり、語彙がまだ十分でない場合も多いため、常にアンテナを敏感に保つ必要があるという。
 野上さんは、疾患はもとより化学療法や化学療法による副作用などを統合しアセスメントを行っている。「何か分からないけれど、ちょっと違う、何かおかしい、という印象を大切にしています。調べてみると熱があったり、データが低くてだるいことが分かったりしますから」。さらに『何か変』の原因が分からない場合には、医師に報告し、早期に介入してもらうようにしている。

ケアと発達・成長を両立させる関わり。

 急性期からターミナル期までのさまざまな状態の患者さんが入院しているため、ご家族も含めた個別性に応じた対応も必須となる。これについて野上さんは、次のように話す。「急性期の場合には、状態が急に悪くなる危険性が高いので、あらかじめ医師から指示をもらい、保護者の方にも危険性についてその都度ご説明し、協力を得ながら看護をしています」。
 ターミナル期の場合には、患者さん自身とご家族の望みをなるべく叶える方向で、多職種と協力体制を組み、工夫を凝らしている。「本人やご家族の決めたことが一番尊い選択だと思いますから、それを全力でサポートすることをお伝えして、話しかけやすいような雰囲気を心がけます」。
 また、小児科の看護で忘れてはならないことは、患者さんが発達段階にあること。「食事はこぼしても時間がかかっても、自分で食べられるように見守ったり、トイレトレーニングも看護計画に反映させたり、成長を促せるように気をつけています」という。治療や服薬の説明も、じっくり話せば分かる年頃になると、絵を使うなどしながら、本人と時間をかけて話し合う。「迷った時には、カンファレンスを開いています。主治医や、必要であれば保育士、チャイルドライフスペシャリストといった方々にも加わっていただき、患者さんとご家族のことを話し合っています」。
 今後もずっと小児科で看護を続けたいという野上さん。「小児の領域で、血液腫瘍科以外の病棟も経験をして広い視野を身につけ、また小児がんの子どもたちの看護に関わっていけたら」と、将来の目標を語ってくれた。

カンファレンスには必要に応じて多職種が参加し、治療方針やご家族との関わり、子どもの発達に関することなどについて検討している。

カンファレンスの様子
野上 桃さん

野上 桃さん

2010年4月入職
内科第一病棟(血液腫瘍科)勤務

1日のスケジュール

8:00
出勤
8:30
申し送り
9:00
点滴調剤、清潔ケア
11:00
化学療法など
11:30
昼食時介助、交代で昼休憩
13:00
バイタルサイン測定、処置
14:30
カンファレンス、ケア
16:30
申し送り
17:15
終業

埼玉県立小児医療センター

埼玉県立小児医療センター

〒339-8551 埼玉県さいたま市岩槻区大字馬込2100
(2016年中に下記へ移転)
〒330-0081 埼玉県さいたま市中央区新都心1-2
担当/総務職員担当 岸
TEL(048)758-1814(直)
https://www.pref.saitama.lg.jp/scm-c/


小児専門病院として、低出生体重児や新生児に対する高度医療をはじめ、一般医療機関では対応が困難な小児疾患の診療を行う3次医療を担っている。医療以外にも、小児の全人的な成長のため、子どもの成長と発達にとって必要な保健、発達支援との一体的な運営を行うほか、教育との連携を図っている。今後はさいたま赤十字病院とともに子どもから大人まで、幅広く高度な医療を提供する拠点として、2016年中にさいたま新都心への移転が計画されている。

ここの看護に注目!

あらゆる小児がんや小児特有の疾患に関する知識のほか、子どもの発達に関する知識が求められる。小さな子どもは自分の状態を言葉でうまく表現できない場合が多いため、表情やバイタルチェックなどから変化を読み取る力も必要。また、病状の変化に対しては、冷静で素早い対応と、子どもだけでなく家族へのケアも重要な仕事となる。

主要疾患:
一般医療機関では対応が困難な小児疾患

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