ストーマ造設された患者さんが不安なく退院できるように。
福岡青洲会病院の外科・内科病棟に勤務する堺恭子さんは、2年前に皮膚・排泄ケア認定看護師を取得した。現在は病棟業務をしながら、皮膚・排泄ケア看護師としての役割も担っている。週2回の褥瘡回診、月1回の褥瘡委員会への出席、院内外での講演などだ。
堺さんが認定看護師を目指したのは、ある受け持ち患者さんがきっかけだったという。「ストーマ造設の患者さんで、術前から不安が強く、術後のストーマの扱いがうまくいかない方でした。私も本を読んだりして勉強し、一つひとつ問題解決して無事に退院できたんです」。その時の喜びが、モチベーションにつながった。
取得後は、ストーマ造設の患者さんに対し、主に担当看護師の指導に入る形で関わる。不安が大きい患者さんへの説明の仕方や、術後の患者さんへの指導等を教えることで、このごろでは手応えも感じている。「スタッフの知識や技術が上がってきて、患者さんが不安なく退院されることがうれしいですね」。退院した後も、心配な患者さんには外来通院の際に病棟へ来てもらうなどして相談にのっている。
褥瘡をつくらないケアを病棟スタッフや地域に伝授。
皮膚・排泄ケア認定看護師として、もう一つの重要な役割は、院内の褥瘡を減らすこと、褥瘡に対するスタッフ全体の知識レベルを上げていくことだ。
週2回の褥瘡回診では、皮膚科の医師と一緒に気になる患者さんを回診する。「このごろでは、病棟の看護師や介護スタッフの方から、分からないことがあると声をかけてもらえるようになりました」と堺さん。
病棟を回るたびに、褥瘡の被覆材のはがし方や洗浄の仕方を丁寧に教えている。その結果、院内の褥瘡件数が減り、自宅や施設でできてしまった褥瘡も、深くならないようになったという。「一緒に褥瘡回診している先生に『ちゃんとケアができているからだね』と言っていただけた時などは、カンファレンスでみんなにフィードバックしています」。
自宅や施設に戻ってまた褥瘡にならないよう、ご家族や施設職員への指導も積極的に行う。「ある患者さんには、ご自宅にある枕やクッション類をすべて持ってきていただき、ベストのポジショニングで写真を撮影し、ご自宅の壁に貼っていただいていることもありますよ」。退院しても途切れることなく相談にのり、地域の方々への啓発にも取り組む。
「褥瘡ケアはとにかく根気です」と言う堺さんは現在、母校での講師も務めている。今後は、学会などに積極的に参加して勉強を重ねながら、院外での活動も活発に行っていきたいと話す。
堺 恭子さん
2003年3月入職
2F東(外科・内科)病棟勤務
ストーマを造設された、ある60代の患者さんは、「私はずっと師匠と呼ばれていました」と話されていて、その患者さんが退院なさる時に、病棟スタッフと先生方に趣味の俳句を贈ってくださったんです。その中で私は「オストメイトの知恵袋」と詠われていて、とてもうれしかったですね。これからもよき知恵袋として、患者さんやご家族のお役に立てればと思います。
1日のスケジュール
福岡青洲会病院
〒811-2311 福岡県糟屋郡粕屋町大字長者原800-1
担当/総務課 大和
TEL(092)939-2519(直)
http://www.f-seisyukai.jp/
e-mail : fukuoka@seisyukai.jp
福岡県、長崎県、熊本県内で医療・介護施設を展開する青洲会グループの病院として、1993年12月、福岡市東部に隣接する粕谷町に開設。救急医療、急性期から在宅療養に至るまでの地域医療に貢献している。2009年3月には、急性期医療の強化のため、救急・災害、循環器、脳神経、整形脊椎部門をセンター化するとともに、さらなる医療の質向上を目指し、新病院もオープンした。
ここの看護に注目!
外科・内科病棟では、術前、術後の患者さんが多く、がん治療の知識や、患者さんの不安を和らげる傾聴力、ご家族とのコミュニケーション力も欠かせない。術後は早期離床を促し、『院内デイサービス』として、リハビリの時間以外もベッドから離れて過ごしてもらうなどの取り組みが行われている。リハビリスタッフとの情報交換も密に行われる。
主要疾患:
外科[胃がん、肝臓がん、肺がん、前立腺がん、膀胱がん、直腸がん など]
内科[肺炎、気胸、糖尿病、慢性腎不全 など]