迅速なアセスメントと心遣いを両立させる。
地域に密着した医療を展開する東北医科薬科大学病院の救急センターでは、毎日多くの救急患者さんを受け入れている。ここで看護師は、日々どのように活躍をしているのだろう。
2016年10月に開設されたセンターの立ち上げ時期から関わっている看護師の照井 璃さんは、「いつどんな患者さんがいらっしゃるか分かりませんし、対応したことのない疾患や外傷のこともありますが、冷静に素早く役割分担をして、処置や検査にスムーズに進むことが大事です」と言う。
救急患者さんは、短時間に状態が変化することが多い。そのためモニターなどを素早く確認しながら、患者さん自身を五感を使って観察することが看護師には求められる。そして、どんなに切迫した中でも、身近に寄り添う存在として、患者さんのニーズを汲み取ることは欠かせないという。同じ「胸が苦しい」という訴えでも、背景にある疾患や生活史などにより対応が異なるからだ。照井さんは、話せる場合には本人も含め家族からも話を聴き、個別性を持った対応を心がけている。
また、患者さんや家族の心身の苦痛緩和も看護師の大切な役目のひとつ。照井さんは言う。「今どんな状態でどこにいるのか、これからどんな検査をしていくのかをご説明して、安心していただけるように努めています。たとえ意識のない患者さんでもそれは変わりません」。素早く動きながらも、きめ細やかな気遣いの求められる現場といえるだろう。
学び続けることでチーム力もアップする。
救急センターには、時として一度に複数の患者さんが運ばれてくることがある。スタッフ同士の連携が試されるところだ。センターには、病棟でリーダー業務を経験している看護師が多く配属されているが、照井さんもその一人。「全体を見る力のある人たち同士、アイコンタクトやちょっとした声かけで動けます。リーダー業務を経験していないスタッフも、自分から動いてくれるので助かります」と言う。このチーム力の背景には、救急センターでの勉強会や日頃の交流がある。医師が週1〜2回開く、看護師や検査部スタッフ向けの『ER塾』では、重要なトピックス解説に加え、重症事例のリフレクティングも行っている。
このER塾や外部のセミナーにも積極的に参加をする照井さんが、大切にしている言葉がある。それは、救急センターの合言葉でもある『Our Code』の中の一文、『常に学び、成長し、マインドを共有する』というもの。「できたばかりの救急センターですので、私も、チームとしても、まだまだ成長していかなければなりません。何年目になっても、学び続ける貪欲さを持ち続けられる看護師でありたいと思います」と照井さん。あらゆる疾患、外傷の患者さんに対応し続ける現場において、学び続ける姿勢を全員が持つことは、知識や技術はもちろんのこと、チームの士気を高め、それが患者さんの命を救うだけでなく、QOLの向上にもつながっていくのは間違いないだろう。
刻一刻と患者さんの容態が変化する救急の現場では、医師や他診療科のスタッフとのカンファレンスは欠かせない
照井 璃(あき)さん
2012年4月入職
救急センター勤務
1日のスケジュール
東北医科薬科大学病院
〒983-8512 宮城県仙台市宮城野区福室1-12-1
担当/庶務課
TEL(022)259-1221(代)
http://www.hosp.tohoku-mpu.ac.jp
e-mail : syomu@hosp.tohoku-mpu.ac.jp
前進の東北厚生年金病院が1982(昭和57)年に現在地に新築移転し、その後2013(平成25)年に東北薬科大学病院になる。さらに東北薬科大学に医学部が新設されるにともなって2016(平成28)年4月1日に東北医科薬科大学病院となった。30年以上の地域医療の実績のうえに、さらに幅広い診療体制の構築やチーム医療の推進、地域医療支援体制の強化、医療専門職の育成機関としての体制整備などを目標として掲げている。病院機能の強化・充実を図っており、2016年10月には救急センターが開設された。
特に求められる能力
主要疾患:
外傷、意識障害など