看護の力が発揮できるSCU(脳卒中ケアユニット)。
「SCU(脳卒中ケアユニット)は脳神経外科の中でも超急性期の病棟です。患者さんは一気に容態が変化しますから、看護師がちょっとした変化を見逃さない観察力が大切です」と語る飯塚さおりさんは、今年5月から横浜新都市脳神経外科病院のSCUに配属となったキャリア11年目の看護師さんだ。それまでは脳神経外科や循環器科、外来での看護を経験し、昨年半年間は休職して認定看護師のための勉強にも専念してきた。
SCUに入院してくる患者さんは、脳卒中などの突然の出来事に戸惑い、現状を受け入れるまでに時間を要するが、治療やリハビリは早ければ早いほど良い。混乱期が過ぎ状態が安定してくると次には、この先の不安とも直面することになり、ご家族を含めたメンタルケアも必要になってくる。「看護師には知識取得のために勉強が求められますが、それは患者さんには関係のないことで、患者さんの心を支えるのは看護師の笑顔だったり態度だったりします」と飯塚さんも言うように、看護師は人間性が認められて、はじめて相談してみようという存在に近づける。「私はホッとできる存在でいたいんです」と言いながらも勉強という陰の努力を表には見せず、患者さんと向き合い、十分なコミュニケーションを取っている飯塚さんに寄せられる信頼は厚い。
チームの一員として、連携を大切にした看護の提供。
患者さんの発症から回復まで、さまざまな専門職がバトンタッチしながら退院までを見守るチーム医療のうえに成り立っている脳神経外科看護。そこには患者さんの目標と情報を共有しながら、チーム全体が一つになる団結力が必要となる。飯塚さんも『チーム新都市』の一員として、多職種との連携を大切にしている。入院時の早期から総合カンファレンスやリハビリなど他部門と方向性を確認するための会議を週1回開くなど、連携体制も整っている。患者さんのことを24時間一番近くで看て、看護ケアを提供して、日々のケアと入院生活を支えている看護師は、チームの中でも重要な役割を果たすことになる。
飯塚さんは、「看護計画にはご家族も入っていただいて、経過を観察してもらっています。“手が動いた!”と患者さんの小さな変化を一緒に喜びあえる瞬間に、やりがいを感じます」と言う。そして、看護の仕事が「年々楽しくなります」と弾んだ口調で語ってくれた。経験を積むことで看護師としてできることが増え、患者さんの回復が予測でき、その反応が直に得られることでさらに喜びを感じるという好循環が生まれているのだろう。
最後にこれからの目標を聞いてみると、「脳神経外科のスペシャリストとして、院内の後輩看護師たちの底上げをしたいですね」と、優しい笑顔の中にも強い意思を感じた。
飯塚 さおりさん
2009年4月入職
脳神経外科(SCU)病棟勤務
新人の頃ある先輩から、「患者さんを自分の親と思って看護してる?」とアドバイスされたことがあります。きっと看護について悩んでいた私の顔を見て、掛けてくださったのだと思います。今も自分の行ったケアに迷いが出た時などには思い起こすひと言ですね。この考え方に戻ってもう一度考えれば間違いはないだろうと、いつも胸の内に秘めています。
リハビリスタッフたちとは、方向性の確認のために一人ひとりの患者さんについて話し合う機会も多い
1日のスケジュール
横浜新都市脳神経外科病院
〒225-0013 神奈川県横浜市青葉区荏田町433
担当/総務課 牛久
TEL(045)911-2011(代)
http://www.yokohama-shintoshi.jp/
e-mail : shintoshi-kango@ims.gr.jp
地域から『24時間救急医療体制の脳神経外科を』という要望を受け、1985年に開院した。最新鋭の設備を整え、救命・看護・リハビリ・在宅療養という継続ケアを提供している全国でも数少ない脳神経外科の専門病院である。
SCU(脳卒中ケアユニット)では、rt-PA静注療法を行い、多くの患者さんの命を救ってきた。2013年からは循環器内科救急も始まっており、より一層地域医療に貢献していく考えだ。
ここの看護に注目!
病状が一気に変化する超急性期SCUの看護には、看護師の観察力と予測力が大切になる。早期発見、早期治療、早期リハビリによって患者さんは、その後の人生において麻痺などの後遺症の程度が大きく変わってくる。また日々変化する患者さんには、想像もしなかった突然の変化が起こることがあり、その変化に立ち会えることが看護の大きな魅力だ。
主要疾患:
脳梗塞・脳出血・クモ膜下出血 など