患者さんと家族の心を支える関わり方とは?
「リハビリはがんばった分だけ成果が伴うと思うので、患者さんやご家族にあきらめない気持ちを持ち続けてもらうことが大事」と初台リハビリテーション病院の大山綾子さんは言う。身体的なケアはもちろん、精神的な支援がリハビリ看護の重要でかつ難しい点だ。患者さんはリハビリが必要になったことに対して、「なぜこうなってしまったのか」という悔しさや、「こんなこともできなくなった。どうしよう」という不安などを感じる。まずはその気持ちを受け止め、やわらげ、希望を持たせなければならない。リハビリを続けていく途中で挫折するときもある。そのようなときには、患者さんと解決策を探していく。そこで大切なのは、なぜリハビリをやりたくないか、という理由。それを見つけ、解決していくことが必要だ。
そして、リハビリ看護において切り離せないのが家族ケアだ。すべての患者さんが今まで通りの生活ができるとは限らない。在宅に戻ったときに家族のサポートがなければ日常生活が送れないケースもある。家族にとって介護を続けるのは大変なことだ。患者さん本人もそれが分かっているから正直な気持ちを言えないこともある。家族も同じだ。お互いの本当の気持ちを理解するために、両者の話し合いの橋渡しをしていきながら、お互いが納得できるよう最適な方法を見つけていく。その支援をするのも看護師の役割のひとつとなる。
患者さんとともにリハビリを進めていくために大切なこと。
リハビリが常時できるように体調管理をすることも重要なこと。バイタルチェックなどフィジカルアセスメントを行い、栄養状態や血糖コントロールなどの管理もしなければならない。少しの変化も見逃さない観察力が求められる。大山さんは言う。「一人では無理なことも仲間がいるからできるんです」。
患者さんには看護師のほかに、介護福祉士をはじめ理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、社会福祉士、管理栄養士、薬剤師、医師が担当者につく。これらすべての職種がチームとなって患者さんを支援していく。カンファレンスは患者さんの情報を共有し、治療・ケアの方針を決めていく重要な時間だ。そこで大山さんが気をつけていることは、「患者さんの気持ちが見えなくならない」こと。医療者としての視点だけで考えていると患者さんの意向とズレてしまいがち。患者さんの持っている能力を伸ばすために大切なのは、一緒に、同じ方向を向いて歩んでいくこと。常に“患者さんを見る”ことを忘れてはいけない。元気がないな、今日は調子が良さそう、昨日はできなかったけど今日はできたなど、毎日患者さんの変化を見ることは重要なことでもあり、それがやりがいにつながる。そのためにも大山さんは毎日患者さんを見つめ続ける。
大山 綾子さん
2005年6月入職
4階病棟勤務(サブマネジャー)
「どんなときでもチームのみなさんが、あきらめないで、私たち家族を支えてくれたのでここまでがんばれました」。この言葉を患者さんのご家族から言われたとき、ご家族の方とも一緒にがんばれたのだと感じました。自分の中では「まだできることがあったのではないか」と思っていたのですが、その言葉を聞いたとき、自分が満足することも必要ですが、患者さんやご家族の方が満足することはもっと大切なのだと気づかされた言葉です。
1日のスケジュール
初台リハビリテーション病院
〒151-0071 東京都渋谷区本町3-53-3
担当/サポート部人事担当
TEL(03)5365-8511
http://www.hatsudai-kango.com/
e-mail : kiseikai-saiyo@hatsudai-reha.or.jp
主に急性期病院から発症後1ヵ月前後の患者さんを受け入れるリハビリ専門病院。ADLの向上、寝たきり防止、在宅復帰を目的として脳血管疾患をメインに365日、1日9単位のリハビリテーションを提供している。寝・食・排泄・清潔を分離し、あたり前の生活が送れるよう、徹底したリハ・ケアを提供。東京23区内における回復期リハビリテーションのサービスを提供する。
ここの看護に注目!
ADL向上・廃用症候群予防・在宅復帰を役割としてリハ看護を実践する。365日・1日9単位のリハビリと活動ができるように体調を管理し、ADL自立への身体面への支援、障害受容をサポートし何らかの介助が必要な場合は介助者に指導。患者さんやご家族が、その人らしく再び輝いた人生がおくれるように看護実践する。できないことだけを見るのではなく、どうすればできるようになるかという諦めない視点をもつことがリハビリ看護の基本となる。
主要疾患:脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、頭部外傷、神経節疾患、脳腫瘍、廃用症候群、脊椎損傷、脊椎・下肢等の骨折など