意識障害のある患者さんにも積極的に声をかけることを大切に。
栃木県栃木市内の3つの病院が統合し設立したとちぎメディカルセンター。急性期医療を担うとちぎメディカルセンターしもつがで、脳神経外科病棟に勤務する諏訪美穂さんは、いつも一人ひとりの患者さんに声をかけながらケアを行っている。
脳神経外科病棟に入院される患者さんは、意識がなかったり、意識はあっても記憶が途切れていたりと、コミュニケーションをとるのが難しい場合が多い。しかし、「反応ができないだけの方もいらっしゃいますから、これからどんなケアをするのかなどをお伝えするように心がけています」と、諏訪さんは言う。最初は反応がなくても、外からの働きかけが刺激になって反応できるようになることも多く、医療的側面からも大切なことなのだ。
「意識のなかった方がだんだんお話ができるようになり、私を認識してくださった時、ご飯が食べられるようになった時、それぞれの段階で喜びを感じながら看護をしています」と諏訪さん。
出血や梗塞などで脳に損傷を受けた患者さんは、意識が戻っても、自身の身体の変化を受け入れるのに時間がかかり、ご家族のショックも大きい。少しでも心理的な負担をやわらげるために、言葉遣いや態度にも気を配る。敬意を払いつつ、意識障害のある患者さんにも分かりやすい簡潔な言い回しを選ぶようにしているという。
リハビリや他疾患の視点を持った関わりが必要。
脳神経外科病棟のため術前・術後の患者さんのケアはその頻度も高く、2時間ごとのバイタルチェックや体位変換、ドレーンの管理をしたりと忙しい。そんな中でも、看護師はバイタルサインの変化や表情、全身状態のちょっとした変化を見逃さないよう、細心の注意を払う。
また、早期からのリハビリも患者さんの社会復帰に密接関わることから、リハビリの視点を持った看護をしていくことが求められる。「リハビリ職種の方々と連携をして、たとえば嚥下であればSTの方と一緒にアセスメントして、嚥下訓練を行うようにしています。チームで関われるので、心強い面がありますね」と諏訪さん。ただ、たとえ機能的には動けたとしても、脳に出血のある患者さんの場合は、動かないことが大切になるため、患者さんの動きたい気持ちも汲みながらケアを進めていくことになる。「出血が止まったら、これができるのでは?と、医師に提案ができるのは、患者さんの近くでいつも接している看護師だからこそ。担当医師からの指示を受けながら、時期を見て提案するようにしています」。
高齢の患者さんも多く、循環器系疾患の既往歴があったり、脳神経外科の治療中にがんが見つかるといったこともある。脳の治療を続けながら他の疾患の治療も続けなければならないため、看護師には幅広い知識が必要となる。諏訪さんは言う。「脳神経外科の看護をするようになって、改めて循環器の大切さが分かったり、身体ってつながっているんだと実感したことがあります。今後、もっといろいろな知識を身につけて、全身を看られるようになりたいと思っています」。
ミーティングでは、看護計画の再検討や申し送りなどを行う。業務の改善点なども積極的に話し合えるチームワークのよさがある。
諏訪 美穂さん
2013年4月入職
とちぎメディカルセンターしもつが
本館4階(脳神経外科)病棟勤務
1日のスケジュール
一般財団法人 とちぎメディカルセンター
〒328-0052 栃木県栃木市祝町4-25
担当/法人本部 総務部 採用担当
TEL(0282)20-1281
http://www.tochigi-medicalcenter.or.jp/
e-mail : saiyo@tochigi-medicalcenter.or.jp
2013年に栃木地区の地域包括ケアシステムの構築と推進を目指して、栃木市内の3病院、下都賀郡市医師会病院、とちの木病院、下都賀総合病院が統合再編成され、とちぎメディカルセンターとなる。さらに、2016年4月には機能分化し、急性期部門はとちぎメディカルセンターしもつがとして新たにスタート。地域医療の基幹病院として栃木県脳卒中地域拠点医療機関などの役割を担いながら、良質な医療の提供に努めていく。
ここの看護に注目!
患者さんは、意識のない方や、意識があってもコミュニケーションが難しい方が多いため、状態の変化や患者さんの訴えを、バイタルサインや全身のアセスメントから読み取る観察力が求められる。急性期からリハビリ期までの看護において、脳の専門領域だけでなく、全身管理はもちろんリハビリの視点を持った関わりや精神面でのサポートも重要になる。
主要疾患:
脳卒中(脳出血、くも膜下出血、脳梗塞)、頭部外傷、脳腫瘍 など