Pick Up Hospital

NST・緩和ケアチーム・褥瘡委員会・訪問看護etc…さまざまなナースによるさまざまな看護のカタチを徹底レポート!
※掲載されているデータは取材当時のものです
Pick Up Hospital 19 [ 2013.8 ]
東邦大学医学部附属の個性ある3病院が、それぞれの良さを生かしながら地域に密着した大学病院として、高度医療・看護を提供。
東邦大学医療センターには、80余年の歴史を有し、高度な医療を提供する『特定機能病院』である大森病院、都市型地域密着病院として高度医療の提供と家庭的で温かみのあるケアを行う大橋病院、千葉県佐倉市で地域の中核病院として高度医療を提供している佐倉病院があります。それぞれの良さを生かしながら、『“あたたかい心のかよった看護”を提供すること』を大切に、質の高い医療・看護の提供に取り組んでいます。その臨床現場で活躍する先輩たちに、仕事のやりがいや職場の魅力を語っていただきました。
東邦大学医療センター大森病院
▲東邦大学医療センター大森病院
〒143-8541 東京都大田区大森西6-11-1
TEL:03-5763-6502(直)
URL:
http://nurse.toho-u.ac.jp/
■開設/1925年
■院長/小原 明
■副院長/佐藤ちず子
■病床数/972床
■職員数/2,019名
■診療科目/36診療科、9センター
■看護配置/7:1
■関連施設/救命救急センター、総合周産期母子医療センター
■指定機関/特定機能病院、第3次救急指定病院、地域がん診療連携拠点病院、災害拠点病院、エイズ診療拠点病院
■交通案内/
・JR京浜東北線「蒲田駅」下車、東口バス2番乗車、「東邦大学」下車
・JR「大森駅」下車、東口バス1番乗車、「東邦大学」下車
東邦大学医療センター大橋病院
▲東邦大学医療センター大橋病院
〒153-8515 東京都目黒区大橋2-17-6
TEL:03-5453-5158(直)
URL:
http://nurse.toho-u.ac.jp/
■開設/1964年
■院長/杉 薫
■副院長/菊地 京子
■病床数/455床
■職員数/1,006名
■診療科目/25診療科、4センター
■看護配置/7:1
■指定機関/第2次救急指定機関
■交通案内/
・東急田園都市線「池尻大橋駅」下車北口、徒歩6分
・「渋谷駅」より三軒茶屋方面バス「大橋」下車3分
・「中目黒駅」より渋谷駅行きバス「大橋」下車3分
東邦大学医療センター佐倉病院
▲東邦大学医療センター佐倉病院
〒285-8741 千葉県佐倉市下志津564-1
フリーダイヤル:(0120)700-364(直)
URL:
http://nurse.toho-u.ac.jp/
■開設/1991年
■院長/加藤 良二
■副院長/寺口 惠子
■病床数/451床
■職員数/852名
■診療科目/16診療科、6センター
■看護配置/7:1
■関連施設/地域周産期母子医療センター
■指定機関/第2次救急指定機関、千葉県がん診療連携協力病院
■交通案内/
・京成線「下志津駅」下車、京成佐倉駅行きバスにて「東邦大佐倉病院」下車
・京成線「ユーカリが丘駅」下車、南口から送迎バス利用可
安全で質の高い医療の実現を目指す大森病院の
4年目の看護師・大須賀さんと教員経験のある
救命救急センター主任の渕本さんにインタビューしました。
入職を決めたきっかけを教えてください。(Median編集部)
- 大須賀

大須賀さん 2010年入職
消化器内科病棟勤務
福島県立医科大学卒
看護部の理念である「心によりそう看護」に共感して、入職を決めました。入職前は「心によりそう看護」を実践するにはどうすればいいのかわからなかったのですが、看護理念として掲げている病院で働くことで学べるのではないかと思いました。
実際に働いてみると、とてもチームワークの良い病棟で、なんでも言い合える雰囲気があります。新人の時にも、発言しやすいように促してくれましたし、カンファレンスも活発に行っています。そうした関わりや研修を通して、心によりそう看護を見出せるようになってきたと感じています。
大須賀さんが興味をもっていらっしゃる『がんの終末期にある患者さんへの看護』についてお聞かせください。
- 大須賀
- 入職して1~2年目に終末期の患者さんを担当したことがありました。ご家族の不安が強く、患者さんに触れることができずにいましたが、看護師との関わりの中で、次第に家族から積極的に患者さんに触れるようになっていきました。死に向かう時の生き方はとても重要だと思います。後悔のないように一緒に考えることができるなんて、素晴らしいことだと思います。「その人らしさ」を大切にケアを行っていきたい。そのために、患者さんの思いを引き出せる看護師になりたいと思っています。「この看護師さんに言えば大丈夫。最善の方向に向けてくれる。」と思ってもらえる看護師になることが目標です。
大学院の頃に教員として7年間の経験があるとお聞きしています。再び臨床へ戻られた今、主任としてどのように働いていらっしゃいますか?
- 渕本

渕本さん 2012年再入職
救命救急センター勤務 主任
札幌医科大学 大学院卒
看護実践者として、一緒に働くスタッフたちの良きロールモデルでありたいと思っています。もっと臨床看護を理論に基づいて体系的にとらえ、スタッフをエンパワーメントできる存在になりたかったんです。だから今は、根拠をもって後輩指導にあたっています。教員として学生に接してきた経験から言うと、人の生命を預かる仕事をしているので、『ダメなことはダメと叱ること』も必要かと(笑)。今は皆が優しい時代ですから、叱られたことがない若い人が多い。どんな形でもいいので、心に響いて欲しいし、何かを感じて欲しい。その点、ここは打てば響くような環境にあるので助かっています。私も一緒に勉強しながら、考えさせられることもあります。同じゴールを目指して協働し、皆でお互いにカバーし合いながら、進んでいきたいです。
再就職先として再び大森病院へ戻ってこられた理由をお聞かせください。
- 渕本
- とにかく、働いている人たちが魅力的です。自分が入院するなら大森病院がいいなぁと思っています。皆が前向きに努力しているというか、頑張っている姿に、自分もここでもう一度働きたいと思い戻って来ました。ここの救命救急センターは、都会の三次救命救急機関で、一刻一秒を争う医療の最前線。『何とかして命を救う』という同じ目標を持つスタッフが一つになっていると感じます。そして何より人がいい。人情があり、人間としての強さも弱さもわかり合える仲間がいて、信頼できる人間関係が築けているって素晴らしいことです。私は東邦大学の出身ではないけれど、“I LOVE TOHO”ですよ。今はどっぷりと染まっている気がします。ここでいい人達に囲まれて、一緒に働きましょう!
やさしい心、親切な心のこもった医療・看護の実践を
目指す大橋病院の4年目の看護師・来栖さんと
助産師の小西さんにインタビューしました。
大橋病院への志望動機と実際に勤務した感想をお聞かせください。
- 来栖

来栖さん 2010年入職
整形外科・泌尿器科・皮膚科病棟勤務
武蔵野大学卒
病院説明会に参加し、大橋病院は患者さんに寄り添ったあたたかい看護を提供しているという印象を受けました。外来で患者さんと話をしている看護師に笑顔が多かったことや院内を歩いてみてゆとりを感じられたことが、ここで働きたいと思ったきっかけです。
現在働いている病棟は整形外科の患者さんが多くいらっしゃいますが、手術、疼痛コントロール、検査など目的は様々で毎日が勉強です。大学病院ならではの急性期の患者さんを、退院後のことも踏まえて一緒に目標を考えて、看護支援できることにとても魅力を感じています。
新人看護師への教育はどのように行われましたか?
- 来栖
- 研修が充実しており、振り返る機会がたくさんありました。自分の現状を踏まえ、次の課題を明確にすることで成長できたと思います。入職時に2週間のオリエンテーションや技術演習など基本的なことを学ぶ機会があったことと、病棟配属までの期間に同期との絆が深まり、励まし合える関係が築けたことが良かったです。病棟ではプリセプターの先輩が細やかに指導してくれました。私の理想の看護師は『患者さんにとって、丁寧な看護を提供できる人』です。これからも自分の理想像を目指し、勉強を続けていきます。
大橋病院を選ばれた理由とその際に感じた魅力を教えてください。
- 小西

小西さん 2006年入職
3階中央病棟(産婦人科・腎臓内科・
糖尿病内科)勤務
東海大学卒
学生の時に病院見学会に参加して、職場の雰囲気が良かったことです。対応してくださった教育担当の看護師さんが優しそうな方で、この人の下でなら大丈夫かなと感じ入職を決めました。実際に働いてみてもその印象は変わりませんでした。スタッフ同士仲が良く、コミュニケーションはとても取りやすいです。大学病院とは言え、地域に密着した医療を提供しているあたたかさのある病院です。私達看護師は急性期の慌ただしさに巻き込まれず、スタッフみんなが患者さんに優しくケアできていると思います。
助産師を目指されたきっかけと、実際に働かれた感想をお願いします。
- 小西
- 学生時代に母性の実習でお産の見学をして、いつか出産に関わりたいと思っていました。5年働き、経済的にも少し余裕ができたので、資格取得を目指して大学院へ行かせてもらいました。2年間、病院の休職制度を利用しながら、週に3〜4回夜勤という生活でした。その間、病棟の先輩から声をかけていただいたり、同期から「頑張ってる? 待ってるよ」と応援メールをもらったりしたことは、勉強の励みになりとても感謝しています。
これからは助産師として、妊産婦一人ひとりの意向に沿った満足していただける看護を提供していきたいです。
地域の中核病院として高度で安全な医療を実践する佐倉病院の
がん性疼痛看護認定看護師・塚本さんと
助産師の鈴木さんにインタビューしました。
がん性疼痛看護の資格取得を目指したきっかけと取得後の仕事内容をお聞かせください。
- 塚本

塚本さん 1998年入職
6階東(呼吸器内科・整形外科の混合)
病棟勤務
東邦大学佐倉看護専門学校卒
2008年 がん性疼痛看護認定看護師
資格取得
呼吸器病棟で勤務する中で、多くの肺がんの患者さんと接し、『緩和ケア』に興味を持つようになりました。いろいろな研修会などに参加して学びを深めてきましたが、その延長線上に認定看護師があったように思います。資格取得後は他病棟へのラウンドを通してがん看護の相談を受けたり、東邦大学医療センター3病院の合同研修会で講師をしたり、看護学校で講義をする機会を得ました。活動範囲が広がる中で、責任感は伴いますが、自分の得てきたものが少しでも周囲の役に立つことは嬉しいし、自分の大切にしたい看護について伝えられることを楽しいと思えるようになりました。
がんの看護外来を立ち上げるメンバーのお一人とお聞きしましたが、どんなことをされるのでしょうか?
- 塚本
- 当院では、すでに他分野で認定看護師が担当している外来がありますが、外来の患者さんやそのご家族にがん告知がされた場合に、相談の受け入れ先が十分ではない状態でした。がん化学療法看護認定看護師と協力して、立ち上げに携わっています。患者さんとご家族が気兼ねせず話せる場所になればいいなと思っています。佐倉病院は、今後、がん診療連携拠点病院の申請をする予定なので、相談支援センターの設置も必要になってきます。皆さんに効果的に活用してもらえる場所になるよう軌道にのせることが、今の一番の目標です。
助産師の仕事の楽しさと佐倉病院の良さを教えてください。
- 鈴木

鈴木さん 2010年入職
2階西(産科)病棟勤務
山形県立保健医療大学卒
高校の性教育の時間に助産師さんが来て見せてくれた「お産のビデオ」にすごく感動して『私も助産師になりたい!』と思いました。今は仕事が楽しくて仕方ありません。職場は大学病院でNICUもあるため、近隣施設から母体搬送されてくるハイリスク妊婦さんも多く大変ですが、いろいろ経験できますし、何よりも助産が大好きなので苦になりません。お産は知れば知るほど奥が深くてどんどん興味が沸いてきます。病棟には、魔法の手をもったスーパー助産師の先輩がいて、毎日が勉強です。
助産外来デビューが近いとお聞きしましたが、どんなことをされるのでしょうか?
- 鈴木
- まず、助産外来を担当する前に、「保健指導デビュー」があります。これは医師が妊婦健診をした後に、助産師が実施する保健指導です。妊産婦さんに不安がないか聞き、出産や育児について相談にのります。助産外来では、正常経過妊婦さんの妊婦健診や産後1ヶ月健診、乳房ケア、育児相談などを行ないます。私は、まだ「保健指導」の修行中ですが、これができるようになったらいよいよ「助産外来デビュー」です。今からワクワクしています。

今回お目にかかった6名の先輩たちには、それぞれご自分の理想とする看護観があり、大森・大橋・佐倉病院と働く場所は違っても、患者さんへの熱い思いは共通していると感じました。そして患者さんを前に、真剣に看護という仕事に取り組んでいる姿が目に浮かび、「看護師の仕事って素晴らしい!」と感動しました。この先輩たちが、後輩たちのロールモデルとなって、東邦大学医療センターが大切にしている『心によりそう看護』を実現しているのだと思います。『職場におけるロールモデルの存在は大切』と言われますが、彼・彼女らの存在が大きな力を発揮して、強い組織づくりができていることを実感しました。