Pick Up Hospital

さまざまなナースによる看護のカタチを徹底レポート Pick Up Hospital

NST・緩和ケアチーム・褥瘡委員会・訪問看護etc…さまざまなナースによるさまざまな看護のカタチを徹底レポート!
※掲載されているデータは取材当時のものです

Pick Up Hospital 3 [ 2009.5 ]

専門スタッフの連携ときめ細かな看護師の指導で患者さんを支援。

2008年4月からメタボリック検診が開始され、“お腹周り”を気にする中高年サラリーマンの間で話題になりました。この検診で予防したい代表的な病気は糖尿病。『現代病』というイメージが強いかもしれませんが、糖尿病はそれほど新しい病気ではありません。そこで今回は、古くから糖尿病治療に取り組んできた岡山済生会総合病院のチーム医療に注目してみます。

岡山済生会総合病院 外観
岡山済生会総合病院

〒700-8511 岡山市伊福町1-17-18
TEL:086-252-2211(代) 担当/看護部
E-mail:byouin@okayamasaiseikai.or.jp

■開 設 年/昭和6年
■病 院 長/糸島 達也
■看護担当副院長・看護部長/谷口 知恵子
■病 床 数/553床(一般528床、緩和25床)
■職 員 数/1,080名
■診療科目/内科・小児科・外科・呼吸器外科・皮膚科・泌尿器科・整形外科・形成外科・美容外科・産婦人科・眼科・耳鼻咽喉科・脳神経外科・精神科・神経科・放射線科・麻酔科・リハビリテーション科
■看護配置/(一般病棟)実質配置 7 : 1
■関連施設/岡山療護センター、岡山済生会吉備病院、岡山済生会ライフケアセンター、岡山済生会県庁内診療所、岡山済生会看護専門学校、岡山済生会奉還町診療所、岡山済生会「憩いの丘」、岡山済生会健診センター、岡山済生会事業部、昭和町健診センター
■各種認定/
〈救急医療〉救急告示病院、二次救急医療病院群輪番制病院、メディカルコントロール業務、屋上へリポート
〈教育指定〉臨床研修病院、外国医師臨床修練指定病院
〈その他〉地域がん診療連携拠点病院、岡山県へき地医療支援機構(運営主体病院)、へき地医療拠点病院、短期人間ドック施設、エイズ拠点病院、災害拠点病院(地域災害医療センター)、難病医療協力病院、臓器移植法による臓器移植提供施設指定、居宅介護支援事業者指定、(財)日本医療機能評価機構認定施設(一般B)、開放型病院
■交通案内/JR岡山駅(西口)より北に徒歩7分(約500m)



  • ▲岡山済生会吉備病院

  • ▲岡山済生会ライフケアセンター

  • ▲岡山済生会県庁内診療所

  • ▲岡山済生会「憩いの丘」他
糖尿病療養指導士に聞く!
小坂ひとみさん

糖尿病治療には古くから力を入れておられるそうですね。(Median編集部)

小坂


糖尿病教室の歴史は長く、地域の
患者さんからも高い信頼を得ている

当院では1963年に初めて糖尿病教室を開いたという記録が残っています。その頃から患者さん向けの指導が、糖尿病という病気の治療には必要とされていたということですね。 1997年以降は平日に毎日1、2時間行い、2008年4月からは月1回、夜間糖尿病教室も開催するようになりました。

現在も続く具体的な取り組みについて教えてください。

小坂


糖尿病療養指導士の小坂ひとみさん。
糖尿病センター勤務

糖尿病の治療目的は、血糖をコントロールして合併症を防ぐことにあります。治療の3本柱は食事・運動・薬物療法です。現在当院の糖尿病センターでは、医師はじめ看護師、管理栄養士、薬剤師、理学療法士、臨床検査技師、医療ソーシャルワーカー、保健師、臨床心理士の専門知識をもったスタッフが連携して糖尿病の治療に取り組んでいます。合併症治療においては、眼科・腎臓病センターなどの院内各セクションとの連携も行い、総合病院ならではの幅広い診療体制を整えている点が特徴ですね。
また、週に1回の全体ミーティングでは、患者さんの治療方法について情報交換や共有を行い、成果の現れた症例は学会に出すこともあります。院内では電子カルテを導入し、クリティカルパスや教育入院専用の『eパス』も活用。標準的なケア計画に則った治療や教育を行っています。

糖尿病ケアでは、患者さんの自覚を促すための工夫が必要だと思うのですが。

小坂


患者さんの目線に立って分かりやすく指導

初期段階では自覚症状の少ない病気ですからね。非常に大切なポイントだと思います。教育入院や糖尿病教室で患者さんに病気の知識と治療の有効性、生活全般の見直しなどをしていただき、自分で病気を管理していけるよう指導しています。専門用語はなるべく使わず、目で見てすぐに分かるようなイラスト入りの説明用紙を用いるなど、さまざまな工夫を行っています。
また、免疫力が低下している患者さんだからこそ、じっくりと足の状態を観察すると、思わぬ異変が起きていたりすることもあります。フットケアの実践型教室などを有効活用し、保清と充分なケアの仕方を一人ひとりの状態に合わせて丁寧に説明しています。患者さんに「これなら頑張れる」と思っていただくことが、回復への大きな一歩になりますから。

糖尿病を再発させないためには、自己管理をし続けられるサポートも必要かと思います。退院後の関わりについてはいかがですか?

小坂


院内の売店でも販売されている
糖尿病テキスト。1冊735円

退院後の患者さんの会『済生会なでしこ』に参加し、料理教室や歩こう会のサポートをしています。さまざまな行事を通して患者さん同士の仲間意識も高まるほか、我々スタッフも新しい知識や情報を提供したりと、患者さんの持続力を促すより良いコミュニティとして機能していると思います。
また、糖尿病治療のための知識や注意点、献立などをカラー写真入りで構成し、同院のオリジナルテキストも出版しています。たとえば、コンビニで夕食を買うときに選んで欲しいメニューの組み合わせなど、利用者側の行動や気持ちを汲んだ内容となっています。利用者さんからも大変好評なんですよ。

今後の目標について教えてください。

小坂


不安や疑問はしっかりと解消。
患者さんの頼れる存在

国民の4人に1人は糖尿病というデータがあります。それくらい誰もが罹る危険性を持っているのが糖尿病です。最近は、早期からの予防のために、糖尿病について院外の方々にお話しする機会が増えました。糖尿病療養指導士の資格に恥じない講習会にしたいと思い、私なりに工夫をしています。自分では分かっていても相手に伝わるように説明することは、とても難しいことだということを学びました。まだまだ勉強は続きそうです。

退院後、自宅でどのように生活するか。3?4ヵ月もすると気が緩みがちな糖尿病ケアにおいて大切なのは、同院が最も力を入れている『自己管理力』の継続的支援に他ならない。小坂さんをはじめ多くの専門スタッフによる活動・連携が、地域の患者さんから高評価を得ているのも頷ける話である。メタボリック検診の導入などにより、生活習慣病への予防意識が高まる昨今。歴史と実績を併せ持つ同院なら、今後も患者さんの期待に応えられるに違いない。


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vol.27 【東京都】東京医科大学病院(総合相談支援センター・NICU退院調整看護師)

vol.26 【神奈川県】中央林間病院(地域包括ケア病棟・退院調整看護師)

vol.25 【埼玉県】行田総合病院(ゆとりある新人教育)

vol.24 【埼玉県】埼玉セントラル病院(医療型療養病棟)

vol.23 【茨城県】日立総合病院(救命救急センター)

vol.22 【東京都】板橋中央総合病院(教育制度・認定看護師)

vol.21 【千葉県】袖ヶ浦さつき台病院(全職種合同研修)

vol.20 【茨城県】茨城西南医療センター病院(新人教育)

vol.19 【東京都】東邦大学医療センター(魅力・やりがい)

vol.18 【東京都】板橋中央総合病院(新人教育)

vol.17 【大阪府】ペガサス 馬場記念病院(福利厚生)

vol.16 【東京都】イムス葛飾ハートセンター(循環器専門病院)

vol.15 【群馬県】群馬大学医学部附属病院(新人教育)

vol.14 【神奈川県】東名厚木病院(摂食嚥下療法)

vol.13 【東京都】三井記念病院(CICU看護)

vol.12 【大阪府】大野記念病院(透析看護)

vol.11 【東京都】東京病院(ワークライフバランス)

vol.10 【東京都】榊原記念病院(循環器専門病院)

vol.9 【長野県】相澤病院(皮膚・排泄ケア)

vol.8 【千葉県】セコメディック病院(皮膚・排泄ケア)

vol.7 【京都府】京都九条病院(コーチング講座)

vol.6 【東京都】順天堂大学医学部附属練馬病院(手術室看護)

vol.5 【大阪府】大阪府済生会千里病院(院内メディカルラリー)

vol.4 【岐阜県】岐阜県総合医療センター(退院調整室)

vol.3 【岡山県】岡山済生会総合病院(糖尿病ケア)

vol.2 【埼玉県】小川赤十字病院(栄養サポートチーム)

vol.1 【京都府】京都南病院(院内劇場)

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