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1月
今月は『母性看護学』です。得意と苦手が分かれる科目ですが、出題傾向が年によって大きく変わる科目ではありません。思春期、成人期、更年期の特徴、正常な妊娠・分娩・産褥、妊娠高血圧症候群、胎盤異常などです。第103回は状況設定問題が、過去問題の類似した出題でしたので、非常に点数が取りやすかったです。近年では新生児の出題が目立ちます。覚えることは確かにたくさんありますが、本試験まであと少しです。気合いを入れて学習していきましょう!
問題1
母子保健の要となる母子保健法の概要をおさえましょう。
母子保健法は、平成24年に改正され、規定事項のほとんどを市町村が実施することになった。
■ 母子保健法
問題2
性周期はぜひ、マスターしましょう。
■ 性周期
問題3
更年期障害をおさえましょう。
■ 更年期の特徴
更年期とは、卵巣機能が生理的に減退し、停止するまでの期間。問題4
妊娠の経過について、代表的なものは確実に覚えましょう。
■ 妊娠の経過
週数 (月数) |
子宮底の長さ 子宮の大きさ |
母体の変化 | 胎児の発育 | |
---|---|---|---|---|
身長・体重 | 全身的発育 | |||
4〜7週 (第2月) |
鷲卵大 | 月経停止・神経質 心悸亢進・めまい 体温2〜3分上昇 |
2.5〜3cm | 超音波断層法で胎嚢を描写(4〜6週) | 8〜11週 (第3月) |
手拳大 | つわり ピスカチェック徴候※1 ヘガール徴候※2 乳房増大・着色 チャドウィック徴候※3 モントゴメリー腺※4 尿意頻数・便秘 |
7〜9cm 20g |
頭部・体幹・四肢が判然 超音波断層法やドップラー法で胎児心拍動を検出 |
12〜15週 (第4月) |
恥骨上12cm 小児頭大 |
胎盤完成 (16週までに) |
14〜17cm 120g |
性別明瞭 12週以降超音波ドップラー法で100%胎児心音を聴取 |
16〜19週 (第5月) |
恥骨上15cm 成人頭大 |
胎動をかすかに感じる *経産婦18週前後 *初産婦20週前後 尿意頻数 体重増加 母性愛が強まる |
25cm 300g |
爪の発生 胎児心音聴取 運動活発 |
20〜23週 (第6月) |
恥骨上18〜21cm (臍高) |
胎動自覚著明 膣分泌増加 |
30cm 650g |
胎脂が生じる 頭髪をみとめる 胎児心音著明 |
24〜27週 (第7月) |
恥骨上21〜24cm 臍上3横指 |
呼吸を肩でする | 35cm 1,000〜1,200g |
移動しやすく位置が変わりやすい 胎児の各部分が触知できる 娩出すれば生存可能 老人様顔貌 |
28〜31週 (第8月) |
恥骨上24〜27cm 臍と剣状突起中央 |
神経過敏 妊娠線の出現 軽度の下肢浮腫 |
40cm 1,600〜1,800g |
皮膚の赤みが強くなる 皮下脂肪は未発達 |
32〜35週 (第9月) |
恥骨上27〜30cm 剣状突起の下 2〜3横指 |
32週で血漿量が最大 腹部膨大 胃部圧迫感 胸式呼吸となる |
45cm 2,000〜2,500g |
皮下脂肪充実 顔面・腹部の生毛は消失 肺サーファクタント完成(34週頃) |
36〜39週 (第10月) |
恥骨上30〜33cm 臍と剣状突起中央 |
胃部および横隔膜の圧迫軽減 尿意頻数 膣帯下の増加 |
50cm 3,000〜3,300g |
成熟児の特徴を示す 児頭が固定する |
※子宮の大きさおよび胎児の発育は、各週数末の値を示す。
※妊娠週から妊娠月数を計算するには、「週÷4=★(☆)」で得られた答えの数(★)と余りの数(☆)にそれぞれ1を足す。
(例)・24週=24÷4=6(余りの数=0)→7カ月の第1週
・33週=33÷4=8(余りの数〔33−(4×8)〕=1)→9カ月の第2週
※1 ピスカチェック徴候:妊娠6〜12週頃から子宮の着床部分が柔らかく膨隆すること
※2 ヘガール徴候:妊娠6〜12週頃から子宮体が子宮頸より早く発育し、柔らかくなること
※3 チャドウィック徴候:妊娠7〜14週頃から子宮頸部が暗紫色に着色すること
※4 モントゴメリー腺:妊娠8週頃から乳頭、乳輪に形成される小結節のこと
問題5
妊娠時に手術するケースがあることをおさえましょう。
■ 妊娠時の急性虫垂炎
妊娠時期にかかわらず、緊急手術となる。問題6
常位胎盤早期剥離と前置胎盤の違いが出題されやすいです。
■ 前置胎盤と常位胎盤早期剥離のおもな差異
出血の種類 | 出血の状態 | 胎児心音 | 痛み | 子宮底 | 内診 | 外診 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
前置胎盤 | 主に外出血 | 陣痛発作時に 多く、破水 とともに減少 |
比較的遅くまで良好 | なし | 上昇せず | 胎盤を触れる | 胎児部分を明瞭に触知 |
早期剥離 | 主に内出血 | 陣痛に無関係 | 早期に消失 | 胎盤付着部に激烈 | 上昇する | 胎盤を触れない | 胎児部分不明瞭 子宮壁板状硬 |
問題7
分娩期で問われる基本事項の確認問題です。
■ 分娩経過と平均持続時間
分娩の経過 | 平均持続時間 | ||
---|---|---|---|
初産婦 | 経産婦 | ||
第1期(開口期) | 分娩開始から子宮口 全開大まで(0~10cm) |
10~12時間 | 4~6時間 |
第2期(娩出期) | 胎児娩出期 | 2~3時間 | 1~1.5時間 |
第3期(後産期) | 胎盤娩出期 | 15~30分 | 10~20分 |
合 計 | 12~15時間 | 5~8時間 |
※日本産科婦人科学会用語問題委員会では、正常分娩所要時間の限界を初産婦30時間、経産婦15時間としており、それを超えると遷延分娩という。なお、第3期は初産・計算とも40分以内が正常と考えられる。第1期がもっとも時間が長い。
問題8
産褥の正常な経過をおさえましょう。
■ 産褥の経過
問題9
産褥の状態を把握したうえでの適切な援助を選びましょう。
設定文から子宮収縮は良好であり、分娩中に問題がないこと、分娩後のバイタルサインも正常である。
分娩後3時間経過していることもあり、トイレへの誘導を(歩行開始)を勧めても問題ないと考える。トイレでの排尿がない場合、導尿を検討する。
■ 早期離床の利点
問題10
産瘤、頭血腫、帽状腱膜下出血の違いをおさえましょう。
■ 産瘤と頭血腫の特徴
(1) 産瘤:分娩中に生じる循環障害による皮下の浮腫産瘤 | 頭血腫 | |
---|---|---|
出血部 | ![]() |
![]() |
消失の時期 | 24〜36時間で消失 | 数週または数ヵ月で消失 |
範囲 | 骨縫合を越える | 骨縫合を越えない |
波動 | なし | あり(中心部) |
境界 | 不明瞭 | 明瞭 |
出現の数 | 1個のみ | ふつう一側の頭頂骨上に生じるが、 時に両側に2個生じることがある |
♪メルクリウスの庭♪
国家試験まであと1ヵ月。それぞれ不安や焦りなども強くなってくる時期ですが、国家試験は選抜試験ではありません。周囲のみんなと同じように点数が取れていれば、全く心配がいらないことを自分に言い聞かせて。必要以上のプレッシャーを自分にかけすぎないように。さらに、今、解けなかった問題が出てきても全く関係はありません。本試験でなければOKなのです。解けなかった問題は、勉強して自分の力へ変換していきましょう! 気持ちは常に前向きに。本番に向けてあともうひと頑張りです!All Rights Reserved (C) 2005-2024 Tokyo Academy Shichiken Publishing co,Ltd.