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5月
第104回看護師国家試験対策講座の最初である今月は『基礎看護学』です。看護や健康の概念、さまざまな看護技術から出題され幅広い範囲の問題構成ですが、正答率は高く80%前後で推移しています。従来から、図や表、視覚素材(写真)が用いられるなど、『見て判断する』ことが求められる問題もみられます。基礎看護学はどの科目にも通じる内容をたくさん含んでいます。手堅く、確実に重要事項を把握していきましょう。
問題1
患者の権利に関する問題は近年、よく出題されています。根幹となっている条文や法規はしっかりおさえましょう。
1981年に患者の権利に関する世界医師会リスボン宣言がリスボンで採択された。内容はチェック&チェック参照。該当するのは2と4である。
■ ■患者の権利に関する世界医師会リスボン宣言
①良質の医療を受ける権利問題2
滅菌物の取り扱い、保管についての理解を深めましょう。
■ 滅菌
いかなる微生物も存在しないことを無菌といい、無菌の状態とするために微生物を殺滅除去することを滅菌という。■ 消毒
人畜に対して有害な微生物を死滅させることであるが、消毒法はすべての微生物を除去することを目的とはしていない。芽胞は生き残る可能性がある。問題3
脳・神経系の代表的なアセスメント試験をおさえましょう。
ロンベルグ試験は両足をそろえて、立位を保持できるかどうかを開眼、閉眼時で確認する試験をいう。小脳の平衡機能をみる代表的試験。正常であれば閉眼していても、5秒は立位を保持できる。
■ 小脳
左右の『小脳半球』とその間に挟まれる『小脳虫部』で構成。問題4
バイタルサインの問題といえば、測定方法となりがちですが、変動因子や測定した結果の判断なども最近は出題されています。
■ バイタルサインの変動因子
変動要因 | 体温 | 呼吸数 | 脈拍 | 血圧 S:収縮期血圧 D:拡張期血圧 |
---|---|---|---|---|
基準値 (成人) |
36〜37℃ | 12〜15回/分 | 60〜90回/分 | S:130mmHg未満 D:85mmHg未満 |
体位 | − | 臥位や前かがみの座位・立位で増加:胸郭拡張せず呼吸免責が狭小化し、1回換気量減少 | − | 立位、座位、臥位の順にSが高く、体位変換の直後には一時的に低下 |
食事 | 上昇:食物摂取による代謝亢進 | 増加:代謝亢進、満腹時は胸郭を押し上げ呼吸面積が狭小化 | 増加:代謝亢進、腸管への血流増加 | 直後一過性にS上昇 |
運動 | 上昇:骨格筋の熱産生 | 増加:酸素需要、二酸化炭素排出量増大 | 増加:骨格筋への血流増加 | 一過性にS上昇、D低下 |
情動 | 上昇:交感神経緊張(不安・恐怖・興奮などによる) | 増加:交感神経緊張、ストレスによる過呼吸などの呼吸パターンの変化 | 増加:交感神経緊張 減少:副交感神経緊張(心地よさ、リラックス) |
不安・恐怖・興奮などによってS・Dともに上昇 (医師・看護師の前で緊張=白衣高血圧) |
環境 | 変化なし:恒常性維持機構(ただし、極端な温度変化には適応できない) | 高気圧における増加:代謝亢進による酸素需要増大 | 高気温における増加:代謝亢進 低気温における減少:代謝低下 |
高気温におけるS低下:血管拡張 低気温におけるS上昇:血管収縮 |
日内変動 | 午前2〜6時ごろ最低。午後3時ごろ最高となる 変動の幅は0.6〜1.0℃で1℃以上は病的 |
− | 睡眠時における減少:代謝低下 | 夜間における低下(正常血圧の場合):昼間の値から10〜20%低くなる(夜間低下しない人は脳血管障害がおきやすい) |
発達段階 | 加齢に伴い低下 | 高齢者における増加:肺の伸縮性低下による1回換気量低下 | 加齢に伴い減少 | 加齢に伴いS・Dともに上昇 |
その他 | 性差:月経のある女性では卵胞期に低下・黄体期は上昇 | 意識的調節が可能(呼吸抑制、深呼吸など) | 喫煙・カフェインなどによる増加:交感神経緊張 | 喫煙による一過性のS上昇(ただしリラックスした状態では不変):交感神経緊張による |
問題5
頻出の看護技術です。確実におさえましょう。
問題6
導尿の手技に関する問題も頻出です。
■ 一時的導尿のカテーテル挿入の長さの目安
男性:20cm(尿道16~18cm)問題7
必修問題でみる出題の仕方です。必修問題では、実践的事項をズバリと聞いてきます。
なんとなくではなく、確実に覚えておきましょう。
■ 各種清潔手技における湯の温度
①入浴:38~40℃問題8
各種血液製剤の取り扱いについて把握しておきましょう。
■ 輸血製剤の種類とその保存
赤血球 | ●保存温度:2~6℃ ●有効期間:採血後21日間 |
出血および赤血球が不足する状態、またはその機能低下による酸素欠乏のある場合 |
---|---|---|
血漿 | ●保存温度:-20℃以下 ●有効期間:採血後1年間 ●30~37℃前後で融解する。 ●融解後3時間以内に使用、(保存は2~6℃で) |
血液凝固因子、特に複数の欠乏による出血ないし出血傾向のある場合 |
血小板 | ●保存温度:20~24℃ ●有効期間:採血後4日以内 ●要振盪 |
血小板数の減少またはその機能低下による出血ないし出血傾向のある場合 |
全血 | ●保存温度:4〜6℃ ●有効期間:採血後21日間 |
大量出血などすべての成分が不足する状態で、赤血球と血漿の同時補給を要する場合 |
問題9
心肺蘇生法は、倒れた人を発見した状態からの手順を確実に把握しておきましょう。
状況から次のことがわかる。
■ 日本版救急蘇生ガイドライン2010による一次救命の流れ(成人の場合)
まず、反応がないことを確認したら、適切なタイミングで救急医療サービス(EMS)システムやその他の適切な蘇生チームへ通報する。問題10
計算問題は、過去に出題されたものを一通り解いておくことで、得点ができるレベルのものです。エネルギー計算は頻出です。
10%ブドウ糖液500mlに含まれるブドウ糖の量は、0.1×500=50gである。
ブドウ糖1gあたり、4Kcalであるため、50×4=200Kcalとなる。
■ 濃度
濃度(%)=溶質(g)÷溶液(ml)×100♪メルクリウスの庭♪
Median-netでの看護師国家試験対策を担当する坪井いづみです。これから2月の国家試験までどうぞよろしくお願いします!All Rights Reserved (C) 2005-2024 Tokyo Academy Shichiken Publishing co,Ltd.