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東京アカデミー人気講師による国家試験対策講座

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11月

｢老年看護学｣

　今月の『老年看護学』は比較的点数がとりやすい科目です。ただし油断禁物。点数がとりやすい科目は失点するとその分だけ、他の人との点差につながりやすくもあります。重要事項を確実にチェックしていきましょう。頻出は、加齢変化、高齢者の特徴、高齢者特有の疾患、高齢者を取り巻く社会環境、法整備などです。今月も基本事項を、問題を解きながらおさえていきましょう。

問題1

平成24年の日本において、老年人口割合が最も高いのはどれか。

1.北海道
2.秋田県
3.埼玉県
4.島根県
5.沖縄県

解答の上にマウスを合わせると解答をご覧いただけます

全国の老年人口割合は覚えていますか？

平成24年の日本の老年人口割合は25.1％である。47都道府県で最も高いのは秋田県の31.6％、次いで高知県の31.1％である。最も低いのは沖縄県の18.4％である。なお、沖縄県は年少人口割合が全国で最も高い（17.6％）。

■ 高齢者関連統計

単位：万人（人口）、％（構成比）

		平成24年10月1日			平成23年10月1日
		総数	男	女	総数	男	女
人口 (万人)	総人口	12,752	6,203 (性比) 94.7	6,549	12,780	6,218 (性比) 94,8	6,562
	高齢者人口(65歳以上) 　65〜74歳人口(前期高齢者) 　75歳以上人口(後期高齢者)	3,079 1,560 1,519	1,318 (性比) 74.8 738 (性比) 89.7 580 (性比) 61.8	1,762 823 939	2,975 1,504 1,471	1,268 (性比) 74.3 709 (性比) 89.2 559 (性比) 61.3	1,707 795 912
	生産年齢人口(15〜64歳) 年少人口(0〜14歳)	8,018 1,655	4,038 (性比) 101.5 847 (性比) 105.0	3,980 807	8,134 1,671	4,095 (性比) 101.4 855 (性比) 104.9	4,039 815
構成比	総人口	100.0	100.0	100.0	100.0	100.0	100.0
	高齢者人口(高齢比率) 　65〜74歳人口　75歳以上人口	24.1 12.2 11.9	21.2 11.9 9.4	26.9 12.6 14.3	23.3 11.8 11.5	20.4 11.4 9.0	26.0 12.1 13.9
	生産年齢人口年少人口	62.9 13.0	65.1 13.7	60.8 12.3	63.6 13.1	65.9 13.8	61.6 12.4

資料：総務省「人口推計」（各年10月1日現在）
（注）「性比」は、女性人口100人に対する男性人口

※平成25年版高齢社会白書

問題2へ

問題4

高齢者のうつ評価尺度で用いられるのはどれか。

1.GDS
2.Barthel Index
3.Kats Index
4.HDS-R

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最近、よく出題される『高齢者医学的総合評価：CGA』に関連した問題です。

CGAの目的は、高齢者とその家族の生活の質を改善することであり、CGAを行うことで、それまで気がつかれなかった疾病、精神心理の問題の発見、投薬数の減少、QOLの改善、入院回数や日数の減少に有効であると言われている。

1：◯…高齢者のうつ状態の評価尺度には、高齢者の抑うつ評価尺度（GDS）や、簡略版ベック抑うつ評価項目（BDI）、ツング自己評価うつ病スケール（SDS）などがある。
2・3：×…Barthel Index、Kats Indexは、基本的ADL（BADL）を評価する代表的な尺度である。
4：×…HDS-Rは、長谷川式認知症スケールである。

■ CGA

　老年医学総合的評価（Comprehensive Geriatric Assessment）の略称。「さまざまな障害を有する高齢者に多角的な評価を行って区分し、問題点を明らかにしてそれを記載し、できれば説明できる評価法である。これらにより、ここの高齢者が有する能力や資源が総括され、看護の必要度が解析されて、統合した介護計画が作成される。計画の実施は、その高齢者の問題点に集中して行われることになる。」とNIH（National Institute of Health）で定義している。

■ BADL（Basic Activities of Daily Living）

　基本的日常生活動作。
　食事、歩行、移動、排泄、更衣、整容、入浴などをいう。

■ IADL（Instrumental Activities of Daily Living）

　手段的日常生活動作。
　電話、買い物、調理、洗濯、服薬管理、旅行、社会活動などをいう。

問題5へ

問題6

骨粗鬆症を持つ患者に対して、勧める食品として適切なのはどれか。

1.コーヒー
2.豚レバー
3.豆腐
4.アルコール

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骨粗鬆症の食事指導を始め、生活指導は頻出です。

骨粗鬆症では、豊富なタンパク質、カルシウムを含む食品を取ることを推奨される。
豆腐はタンパク質、カルシウムが豊富にふくまれる食品である。
カフェイン・アルコールは、尿中へのカルシウム排泄をうながすため、過剰摂取を控える。
豚レバーはタンパク質が豊富であるが、リンの含有量が多い。

■ 骨粗鬆症

　骨強度の低下を特徴とし、骨折のリスクが増大しやすくなる疾患である。この骨強度は、骨密度に加え、骨微細構造や骨代謝回転、石灰化などにより決定される骨質によっても規定されるものと考えられている。

■ ロコモティブシンドローム

　運動器症候群をいい、2007年に日本整形外科学会が、提唱した。『運動器の障害』により『要介護になる』リスクの高い状態になることを広く周知してもらうために提唱した。

■ 骨粗鬆症で推奨される食品、過剰摂取を避ける食品

　骨粗鬆症の治療時に推奨される食品、過剰摂取を避けた方がよい食品

推奨される食品	過剰摂取を避けた方がよい食品
カルシウムを多く含む食品（牛乳・乳製品、小魚、緑黄色野菜、大豆・大豆製品）ビタミンDを多く含む食品（魚類、きのこ類）ビタミンKを多く含む食品（納豆、緑色野菜）果物と野菜蛋白質（肉、魚、卵、豆、穀類など）	リンを多く含む食品（加工食品、一部の清涼飲料水）食塩カフェインを多く含む食品（コーヒー、紅茶）アルコール

問題7へ

問題7

腹圧性尿失禁を持つ患者への指導で適切なのはどれか。

1.骨盤底筋群の運動をする。
2.排尿をできるだけ我慢する。
3.着脱しやすい衣服を着る。
4.飲水制限をする。

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尿失禁の種類をおさえ、同時に援助の方法もチェックしましょう。

○…骨盤底筋群を鍛えることにより、外尿道括約筋も同時に鍛えられる。腹圧性尿失禁以外にも切迫性尿失禁に有効である。
×…排尿をできるだけ我慢する方法が有効なのは、切迫性尿失禁である。
×…排尿の動作に手間取り、尿失禁をおこす機能性尿失禁に有効である。
×…高齢者は渇中枢が衰え、飲水量が低下し、脱水につながりやすくなる。必要十分な飲水は行う必要がある。

■ 尿失禁の種類

分　類		特　徴
機能性尿失禁		ADL障害や認知症などのために排泄動作ができない。
器質性尿失禁	切迫性尿失禁	わずかな尿量でも頻尿となる。膀胱が過敏な状態。排尿抑制経路障害。（パーキンソン、脳梗塞など）
	腹圧性尿失禁	骨盤底筋群の弱化により、腹圧上昇時（咳、くしゃみ）に起こる。（経産婦である中年以降の女性に多い）
	溢流性尿失禁	慢性的な尿閉で、残尿量が大量になると膀胱内圧が上昇するために起こる。（前立腺肥大症）
	反射性尿失禁	膀胱に尿が溜まると、尿意がないのに排尿が起こる。（脊椎損傷、神経疾患）
	完全(真性)尿失禁	膀胱に尿が溜まらないまま、だらだらと尿が漏れる。（術後の膀胱神経の損傷）

問題8へ

問題9

平成24年の高齢者の健康に関する意識調査において、自宅で最期を迎えることを希望する人の割合に最も近いのはどれか。

1.約3割
2.約5割
3.約7割
4.約9割

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終末期に関する事項も頻出です。

平成24年の高齢者の健康に関する意識調査では、自宅で最期を迎えることを希望する人の割合は、総数で54.6％（男性62.4％、女性48.2％）であった。
次いで『病院などの医療施設』が27.7％、『特別養護老人ホームなどの福祉施設』は4.5％、『高齢者向けのケア付き住宅』は4.1％などとなっている。
性別にみると、『自宅』は、女性の48.2％よりも男性の62.4％で、『病院などの医療施設』は、男性の23.0％よりも女性の31.6％で希望する割合が高くなっている。

■ 終末期医療の決定に関するガイドライン（2007年：厚生労働省）

1 終末期医療及びケアの在り方: ① 医師等の医療従事者から適切な情報の提供と説明がなされ、それに基づいて患者が医療従事者と話し合いを行い、患者本人による決定を基本としたうえで、終末期医療を進めることが最も重要な原則である。; ② 終末期医療における医療行為の開始・不開始、医療内容の変更、医療行為の中止等は、多専門職種の医療従事者から構成される医療・ケアチームによって、医学的妥当性と適切性を基に慎重に判断すべきである。; ③ 医療・ケアチームにより可能な限り疼痛やその他の不快な症状を十分に緩和し、患者・家族の精神的・社会的な援助も含めた総合的な医療及びケアを行うことが必要である。; ④ 生命を短縮させる意図をもつ積極的安楽死は、本ガイドラインでは対象としない。

2 終末期医療及びケアの方針の決定手続
終末期医療及びケアの方針決定は次によるものとする。
（1）患者の意思の確認ができる場合: ① 専門的な医学的検討を踏まえたうえでインフォームド・コンセントに基づく患者の意思決定を基本とし、専門職種の医療従事者から構成される医療・ケアチームとして行う。; ② 治療方針の決定に際し、患者と医療従事者とが十分な話し合いを行い、患者が意思決定を行い、その合意内容を文書にまとめておくものとする。
上記の場合は、時間の経過、病状の変化、医学的評価の変更に応じて、また患者の意思が変化するものであることに留意して、その都度説明し患者の意思の再確認を行うことが必要である。; ③ このプロセスにおいて、患者が拒まない限り、決定内容を家族にも知らせることが望ましい。
（2）患者の意思の確認ができない場合: 患者の意思確認ができない場合には、次のような手順により、医療・ケアチームの中で慎重な判断を行う必要がある。; ① 家族が患者の意思を推定できる場合には、その推定意思を尊重し、患者にとっての最善の治療方針をとることを基本とする。; ② 家族が患者の意思を推定できない場合には、患者にとって何が最善であるかについて家族と十分に話し合い、患者にとっての最善の治療方針をとることを基本とする。; ③ 家族がいない場合及び家族が判断を医療・ケアチームに委ねる場合には、患者にとっての最善の治療方針をとることを基本とする。
（3）複数の専門家からなる委員会の設置: 上記（１）及び（２）の場合において、治療方針の決定に際し、
・医療・ケアチームの中で病態等により医療内容の決定が困難な場合
・患者と医療従事者との話し合いの中で、妥当で適切な医療内容についての合意が得られない場合
・家族の中で意見がまとまらない場合や、医療従事者との話し合いの中で、
　妥当で適切な医療内容についての合意が得られない場合
等については、複数の専門家からなる委員会を別途設置し、治療方針等についての検討及び助言を行うことが必要である。

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問題10

認知症対応型共同生活介護（認知症高齢者グループホーム）について正しいのはどれか。

1.老人福祉法に基づく老人福祉施設である。
2.要介護者のみ、利用が可能である。
3.居宅サービスの一つである。
4.入居定員は1ユニット5人以上9人以下である。

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高齢者福祉に関した施設は、設置基準、人員基準等細かいところまで出題されています。

×…老人福祉法に設置の規定はあるが、老人福祉施設には含まれない。
×…要支援2は利用が可能である。
×…地域密着型サービスである。
○…入居定員は1ユニットにつき、5人以上、9人以下となっている。

■ 認知症対応型共同生活介護（認知症高齢者グループホーム）：介護保険法

要介護者であって認知症であるもの（その者の認知症の原因となる疾患が急性の状態にある者を除く。）について、その共同生活を営むべき住居において、入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話及び機能訓練を行うことをいう。

■ 老人福祉施設（老人福祉法）

第5条の3
この法律において、「老人福祉施設」とは、老人デイサービスセンター、老人短期入所施設、養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム、老人福祉センター及び老人介護支援センターをいう。

♪メルクリウスの庭♪

　早いもので、もう冬の気配がする今日この頃です（北のほうではすでに冬ですよね）。
　11月も半ばになると、国家試験まで3ヵ月となり、カウントダウンを始めている人も多いのではないでしょうか。実際に勉強に取り組める時間は思ったよりも短いものです。なので、効率よく時間を有効活用していきましょう。そのためにも、まずは模試の成績のチェックをし、全体と比較しできているところ、できていないところを確認したうえで、勉強に取りかかりましょう。もし、今までの模試の成績があと少しであっても、要点をおさえながら、覚えるべきところを覚え、理解するところを理解し、繰り返し学習していくことで、国家試験合格に必要な知識が身についていくはずです。
　そして、体調管理も大切な対策ポイント。眠る時間も惜しくなる時があるかもしれませんが、眠ることで、知識は脳に定着します。自分に合った睡眠時間を確保していきましょう。
　国家試験は選抜試験ではありません。一定の学力を満たせば合格できる試験です。毎日、少しずつはじめていきましょう。これからが正念場ですよ！

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