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■ 性周期

■ 妊娠の成立

①排卵：卵巣内で成熟した卵胞が破裂し、卵子が排出される。

②排出された卵子が卵管内に進入する。

③射精

④精子が子宮腔をとおり、卵管内に進入する。

⑤受精：精子が卵の中に進入して両者の核が合一することで、卵管膨大部で行われる。

⑥受精卵が卵管から子宮腔内に運ばれる（約3日間）。

⑦着床：受精卵が正常な着床部位である子宮体部の内膜に定着し、埋没するまでの過程をいう。着床は受精後7日目前後に進行し、内細胞塊からは胚芽の分化が開始し、栄養膜は繊毛として発育分化し、hCGの分泌も始まる。

■ 分娩第1期の看護

① 体位

　一定の体位にこだわらなくてよい。児頭が骨盤入り口上で移動している場合は、児背側を下にした側臥位か上半身を高くする。
　妊娠末期の妊婦が仰臥位になると、妊娠子宮により下大静脈が圧迫され、下半身から心臓へ戻る血液が減る。そのため、急に血圧が下降して悪心、嘔吐、生あくびなどを起こすことがある（仰臥位低血圧症候群）。子宮を側方に押して位置を変えるか、妊婦を左側臥位にすると自然に治る。

② 食事

　水分と単糖類・二糖類などの消化がよいエネルギー源となるものを産婦の好みを優先して摂取できるよう工夫する。

③ 睡眠

　陣痛の間欠時に静かに眠れるように環境を整える。

④ 排尿

　2〜3時間毎に排尿を促す。自然排尿がない場合は、4時間毎に導尿をする。

⑤ 呼吸

　分娩第1期の終わり頃（子宮口が7〜8cm開大）には、力を抜く呼吸法として、あえぎ呼吸（ヒ・ヒ・フー）をさせる。子宮口が全開大するまで怒責はさせない。

⑥ 陣痛の観察と胎児管理

　少なくとも1時間毎に陣痛の間欠（静止期）・発作（収縮期）およびその周期（間欠＋発作）、胎児心音を観察する。
※胎児心音の異常や臍帯雑音が聴取されるときには、継続して観察。

⑦ 分泌物の性状の観察

　分泌物は子宮口の開大に伴って増えるが、正常な粘液か異常出血かを鑑別する。破水がなければシャワー浴は可能である。

⑧ 一般状態の観察

　4時間毎に検温（前・早期破水時は2〜3時間毎）、血圧は8時間毎に測定する。出血の有無、陣痛以外の疼痛存在、顔色などにも注意を払う。

⑨ 破水時の看護

　外陰部に消毒ガーゼかナプキンを当て、流出した羊水の量や性状を調べる。前期・早期破水時は医師、助産師に速やかに報告する。
※破水直後は必ず胎児心音の変化の有無に注意する。

⑩ 精神的慰安

　産婦をなるべく一人にしない。

⑪ 夫や家族への配慮

■ 分娩第2期の看護

① 分娩室への入室

	子宮収縮状態	先進部の状態	子宮口の開大度
初　産	陣痛間欠1〜2分、発作50秒以上で、やや強度の収縮があるとき	骨盤に強く嵌入し、頭部が恥骨結合上に触れず、怒責時軽く会陰に抵抗を感じるようになったとき	子宮口全開大
経　産	陣痛間欠2〜3分、発作50秒ぐらいで、やや強度の収縮があるとき	骨盤に嵌入し、軽く怒責を訴えるとき	子宮口6〜8cm開大

② 外陰部および大腿内側の消毒

③ 腹圧の指導

　発露するまでは陣痛発作と同時に腹圧を加えさせる。陣痛間欠時には普通の呼吸をさせ、全身を弛緩させる。
　発露以後、先進部の娩出に際して会陰保護を施すべき時期には、怒責を中止させ、短速呼吸で全身の力を抜き胎児を娩出する（会陰裂傷の防止）。

④ 排尿

　膀胱に尿が貯留しないように注意し、必要時導尿する。

⑤ 休息と食事

　陣痛間欠時には十分にリラックスできるよう声かけやタッチング等で誘導する。
　お茶など水分補給を促す。

⑥ 会陰裂傷の予防、胎児の安全な娩出を目的として会陰保護法を行う。

⑦ 観察

　一般状態、胎児心音、陣痛の状態、腹圧の状態、出血の有無とその状態、羊水の状態。

■ 産褥体操の目的

・弛緩した腹壁、骨盤底筋群の回復を促す。
・悪露の滞留を防ぎ、子宮収縮を促す。
・乳汁の分泌を促進する。
・血液の循環を促し静脈瘤を予防する。
・疲労を回復し、リラクゼーションを図る。

■ 妊娠高血圧症候群（PIH）

(1) 定義

　妊娠20週以降、分娩後12週まで高血圧がみられる場合、高血圧に蛋白尿を伴う場合のいずれかで、かつこれらの症状が単なる妊娠の偶発合併症によるものではないもの。危険因子として、初産婦、高年齢、肥満、糖尿病、高血圧などがある。

(2) 病型分類

妊娠高血圧症候群の病型分類（日本産科婦人科学会）

妊娠高血圧腎症	妊娠20週以降にはじめて高血圧が発症し、かつ蛋白尿を伴うもので、分娩後12週までに正常に復する場合をいう。
妊娠高血圧	妊娠20週以降にはじめて高血圧が発症し、分娩後12週までに正常に復する場合をいう。
加重型妊娠高血圧腎症	①高血圧症が妊娠前あるいは妊娠20週までに存在し、妊娠20週以降蛋白尿を伴う場合、 ②高血圧と蛋白尿が妊娠前あるいは妊娠20週までに存在し、妊娠20週以降、いずれか、または両症状が増悪する場合、 ③蛋白尿のみを呈する腎疾患が妊娠前あるいは妊娠20週までに存在し、妊娠20週以降に高血圧が発症する場合をいう。
子癇	妊娠20週以降にはじめてけいれん発作を起こし、てんかんや二次けいれんが否定されるもの。けいれん発作の起こった時期により、妊娠子癇・分娩子癇・産褥子癇とする。

(3) 症候による亜分類

妊娠高血圧症候群の症候による亜分類（日本産科婦人科学会）

重症・軽症の 病型分類		高血圧	蛋白尿
	軽症	収縮期血圧140mmHg以上、 160mmHg未満、または 拡張期血圧90mmHg以上、 110mmHg未満	原則として24時間尿を用いた定量法で判定し、300mg/日以上で2g/日未満
	重症	収縮期血圧160mmHg以上、 または拡張期血圧110mmHg以上	蛋白尿が2g/日以上。随時尿を用いた試験紙法による尿蛋白の判定量は24時間蓄尿検体を用いた定量法との相関性が悪いため、尿中蛋白の上昇度の判定は24時間尿を用いた定量によることを原則とする。随時尿を用いた試験紙法による成績しか得られない場合は、複数回の新鮮尿検体で、連続して3+以上（300mg/dL）の陽性と判定されるときに蛋白尿重症とみなす。
発症時期による 病型分類	早発型（EO） 遅発型（LO）	妊娠32週未満に発症するもの 妊娠32週以降に発症するもの

(4) 合併症

　常位胎盤早期剥離、血液凝固異常、肺水腫、網膜剥離、流・早産、低出生体重児、子宮内胎児発育遅延（IUGR）、妊産婦死亡、胎児死亡、胎児機能不全

(5) 治療と看護

① 安静
② 食事療法

妊娠高血圧症候群の栄養管理指針

エネルギー摂取 （総カロリー）	・非妊娠時 BMI24未満の妊婦　30kcal×理想体重（kg）＋200kcal ・非妊娠時 BMI24以上の妊婦　30kcal×理想体重（kg）
塩分摂取量	・7〜8g/日　※極端な塩分制限はしない。
水分摂取量	・1日尿量500mL以下や肺水腫*では、前日尿量に500mLを加える程度に制限するが、それ以外は制限しない。口渇を感じない程度の摂取が望ましい。
たんぱく質摂取量	・1.0g/日×理想体重（kg） （予防には1.2〜1.4g/日×理想体重（kg）が勧められる）
その他 生活指導	・動物性脂肪と糖質は制限し、高ビタミン食とすることが望ましい（予防には1日900mgの食事摂取カルシウムに加え、1〜2g/日のカルシウム摂取が有効との報告もある。また、海草中のカリウムや魚油、肝油（不飽和脂肪酸）、マグネシウムを多く含む食品には高血圧予防効果があるとの報告もある。） ・安静、ストレスを避ける（予防には軽度の運動、規則正しい生活が勧められる）

※肺水腫：血液の液体成分が血管の外へ滲み出した状態。肺内で液体成分が留まるため、肺ガス交換が障害されて低酸素血症となり、呼吸困難が現れる。

（日本産科婦人科学会1998より、一部改）

③ 薬物療法
　鎮静薬、強心薬、利尿降圧薬など。利尿薬は血液の濃縮を強めるため、肺水腫や心不全の場合を除き使用しない。

■ 出生体重に基づいた新生児の呼び方

■ 在胎週数の異なる低出生体重児の特徴

■ 生理的黄疸

◯新生児病的黄疸の診断
① 出生24時間以内に黄疸の出現（早発黄疸）
② 血清ビリルビン値が5mg／dL／24時間以上の上昇速度
③ 総ビリルビン値17mg/dL以上
④ 総ビリルビン値15mg/dL以下であるが、黄疸が2週間以上に及ぶもの（遷延性黄疸）
⑤ 直接ビリルビン値3mg/dL以上

■ 病的黄疸

① 早発黄疸

・生後24時間以内に肉眼的な黄疸が出現する。

・溶血性疾患に伴う可能性が高い（母児間の血液型不適合など）。

② 遷延性黄疸

生後2週間を超えても肉眼的な黄疸が続く。
母乳性黄疸→病的なものではなく、広い意味で生理的黄疸の1つとされている。
他に、閉鎖性出血（頭血腫、帽状腱膜下血腫など）・閉鎖性黄疸（胆道閉鎖症など）が原因で起こる。

③ 重症黄疸

血清ビリルビン値が正常域の上限を超える（成熟児15mg/dL、早産児12mg/dL）。

④ 核黄疸

遊離ビリルビンの脳への沈着により、進行性の中枢神経障害を来す。