入職志望者が出題意図を正しく理解し、きちんと自己表現できているかどうかを見る作文や小論文。『人柄を見る』作文に対し、『知識・理解・論理的な表現力を見る』のが小論文です。論理的な文章を書くには、何度も練習することが大切。書いた文章を学校の先生などに添削してもらい、論理的に『相手を納得させる』文章を書く力を付けていきましょう。
小論文試験の概要をおさえよう
小論文試験は、筆記試験では判断できない入職志望者の人物像を、文章を通して探ろうとするものです。「文は人なり」と言われるように文章には、思考力、問題意識、価値観、感性などの「人となり」、さらには看護師としての適性や資質が如実に表れるものです。
採用試験に小論文を取り入れている病院が以前より多くなっています。時間制限は病院によってまちまちですが、30分〜60分が多いようです。制限時間が違っても質の同じ文章を完成させたいものです。そのためには、事前に繰り返し練習をすること。そして先生に添削してもらいましょう。
字数は400字〜800字の間で、特に800字が多いようです。また、書き方はほとんどが横書きで、用紙にマス目のある・なしは、半々の割合です。中には字数が自由で制限時間20分という病院もありますが、用紙・形式に惑わされず落ち着いて臨みましょう。(Median『就職意識調査2019』より)。
小論文を書く手順
まず設問(資料)を読み、その内容をしっかり理解することが出発点。設問(資料)自体に傍線などを引いて、『何を書けばよいか』を考えてポイントをピックアップしておくとよい。
出題者が求めているのは、『当院を志望している看護学生であるあなた』からの意見であることを忘れないように。その病院で働く意欲や熱意などをリンクさせて答えるようにするとより効果的。一見医療とは無関係なテーマであっても、仕事と結びつけて考えることが大切。
課題を正しく把握したら、論旨の明確な文章にするために、全体の構成を組み立てる。ここで重要なのは最初に結論を決めること。結論を決めたら、これを述べるためにどのような材料をどのような順で述べていくのかを段落設定とともに考える。このときに盛り込む内容を具体的に箇条書きにしてみると整理しやすい。
余分な要素や矛盾点は削除してから相手に読みやすい順序で並べていく。基本的な文章構成の型を挙げるので参考にしてみよう。
最初に結論を述べ、次にその内容を説明・論証する
説明・論証をしたあとで、結論を述べる
最初に序論として問題を提起し(話題・論題を引き出し)次に本論としてその内容を説明・論証し、最後に結論を述べる
上記以外には、起・承・転・結の四段型がありますが、これは転の部分が難しく、小論文としてはやや高度な型です。
これらは基本的な型なので、必ずしもこれらに制約される必要はない。
文章の構成がしっかりとできていて、論旨がスムーズに展開できていることが重要。
段落は、少なすぎると内容の区切りが不明確でわかりにくく、多すぎてもまとまりがない文章になる。一つの目安として、800字程度の場合、三段型であれば、序論を1個の段落、本論を1〜3個の段落、結論を1〜2個の段落とすることが多く、全体を3〜6個に分けるのが一般的。
字数制限がある場合は少なくとも9割以上は書く必要がある。逆に、制限字数を1字でも超えると減点されることもあるので、注意しよう。
文章を書き終えたら、必ず読み返そう。下のチェックリストにある項目を確認してみてほしい。
読み返すときのチェックリスト
□誤字、脱字、略字はないか?
□送り仮名、仮名遣いに誤りはないか?
□原稿用紙の使い方は正しいか?
□字数不足、字数オーバーはないか? ←時間のないときはここまでをチェック!
□表現に不適切なところはないか?
□段落分けは適切にできているか?
□論旨に一貫性があるか?
□結論は明確か?
原稿用紙の使い方
表現上のポイント
敬体「です」「ます」は特別な場合(会話文など)を除き、用いない。
×「~けど」「やっぱり」「~んで」「すごく」
◯「~けれど」「やはり」「~ので」「とても」
常体と敬体、書き言葉と話し言葉を混用しない。
×「超嬉しい」「マジで」「テンパる」「どや顔」
○「とても嬉しい」「本当に」「あわてる・焦る」「自慢気な顔」
外来語は、日本語として定着しているものなら、使ってもさしつかえないが、多用すると軽薄な印象を与えてしまう。
( )…文や語句の後に、特に注記する場合に用い、補足説明であることを示す。
「 」…会話文や語句の引用に用いる。また、文章中で特に強調したい語句に用いる。
『 』…「 」の中にさらに「 」を入れる場合や、書名や雑誌名を示す場合に用いる。
読点を打つべき場合を簡単に挙げると、だいたい次のようになる。
・主語の後。
・対等に並ぶ語句の後。
・長い文節の後。
・限定や条件の意味を加える語句の後。
・読点を打たないと、文意が変わってしまうときなど。
・正しい活用語を用いているか。
×「何でも食べれる」→○「何でも食べられる」
×「見させていただく」→○「見せていただく」
・対をなす語句の形式はそろっているか。
×「見たり聞いたことを」→○「見たり聞いたりしたことを」
・呼応の不備はないか。
「なぜなら〜」の文末には「〜からである」「〜ためだ」などの理由を表す語句をつける。
「全然〜」の文末には「〜ない」などの打ち消し語をつける。
・一文をむやみに長くしない(一文80~100字以内を目安に)。
・同じ語句を繰り返さない。
×「気分が悪いので学校を休んだので」→○「気分が悪くて学校を休んだので」
・同意の語句の重複を避ける
×「約3年ほど前」→○「3年ほど前」
出題者の意図別・小論文のテーマ例とポイントをおさえよう
◆個人の資質を見るテーマ
◆『医療』『看護』に関するテーマ
何度も書く練習をして、
文章力をつけよう!
小論文は書き慣れていないと、自分の言いたいことを伝えられなかったり、テーマに合った内容を書けなかったりと、意味のない試験になってしまいがち。思い通りの自己表現ができるよう、練習を重ねて書くことに慣れておこうね。
小論文の苦手を克服するヒント
小論文試験のポイントはつかめたかな?
次回は「筆記試験のポイントを知ろう」がテーマ。
小論文以外の筆記試験のポイントもおさえて、採用試験に挑もう!