医療施設(病院と診療所)は、開設者によって大きく『国』『公的』『私的』に分かれます。さらには、下表のように厚生労働省〜個人までの26種類に区分されています。医療法では、病院とは病床数20床以上、診療所とは19床以下として分類していることも覚えておきましょう。
医療施設の分類(開設者別)について知ろう
病院を開設者ごとに大きく分類して見てみましょう。
設立母体の違いによって、主に以下のような特徴があります。
国立病院 | 公立・公的・社会保険関係の病院 | |
---|---|---|
厚生労働省・独立行政法人国立病院機構・国立大学法人・独立行政法人地域医療機能推進機構など7種類あり、主に複数の診療科をもち、さまざまな疾患に対応できる機能・体制が整っている。 | 大きく分けると、都道府県・市町村・地方独立行政法人・日本赤十字・済生会など公的な8種類と、社会保険関係である健康保険組合および連合会や共済組合、国民健康保険組合の3種類がある。それぞれ地域住民や母体組織の法人職員等の健康を守り、病気を治療するために、地域・組織に根ざした医療を提供している病院が多くある。 | |
一般・民間病院 | 訪問看護ステーション | |
公的に対して私的に分類されるのは、公益法人・医療法人・私立学校法人・社会福祉法人・個人など7種類と会社の合計8種類。全施設数に占める割合が一番高いのが、ここに分類されている医療法人であり、その割合は約7割となる。一般的に民間病院と呼ばれ、急性期病院〜回復期〜慢性期〜在宅医療まで幅広くカバーしているのが特徴である。 | 病院と診療所以外の施設として看護師が働く機会の多いのが、訪問看護ステーション。ここは在宅療養者が訪問看護を利用できるように作られた事業所で、多くが少人数で運営されている。医療法人や地方公共団体、社会福祉法人が解説しており、常勤の保健師や看護師がサービスを提供している。 |
開設者別の医療施設・病床数
病院 | 一般診療所 | 歯科診療所 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
施設数 | 病床数 | 施設数 | 病床数 | 施設数 | |||
総数 | 8,365 | 1,544,202 | 102,196 | 94,270 | 68,597 | ||
国 | 厚生労働省 | 14 | 4,622 | 22 | - | - | |
独立行政法人国立病院機構 | 141 | 53,751 | - | - | - | ||
国立大学法人 | 47 | 32,683 | 147 | 19 | 1 | ||
独立行政法人労働者健康安全機構 | 33 | 12,465 | - | - | - | ||
国立高度専門医療研究センター | 8 | 4,197 | 2 | - | - | ||
独立行政法人地域医療機能推進機構 | 57 | 15,888 | 2 | - | - | ||
その他 | 24 | 3,711 | 361 | 2,179 | 3 | ||
公的 | 公的 | 都道府県 | 199 | 53,064 | 253 | 176 | 7 |
市町村 | 620 | 127,963 | 2,939 | 2,186 | 254 | ||
地方独立行政法人 | 104 | 40,769 | 32 | 17 | - | ||
日赤 | 92 | 35,611 | 205 | 19 | - | ||
済生会 | 85 | 22,885 | 52 | - | 1 | ||
北海道社会事業部協会 | 7 | 1,717 | - | - | - | ||
厚生連 | 103 | 32,775 | 65 | 25 | - | ||
国民健康保険団体連合会 | - | - | - | - | - | ||
社会保険関係 | 健康保険組合およびその連合会 | 9 | 1,934 | 302 | - | 2 | |
共済組合およびその連合会 | 42 | 13,362 | 146 | - | 5 | ||
国民健康保険組合 | 1 | 320 | 16 | - | - | ||
私的 | 公益法人 | 197 | 49,634 | 497 | 271 | 103 | |
医療法人 | 5,756 | 862,711 | 42,972 | 70,862 | 14,407 | ||
私立学校法人 | 112 | 55,561 | 189 | 38 | 16 | ||
社会福祉法人 | 199 | 34,148 | 9,874 | 339 | 37 | ||
医療生協 | 82 | 13,672 | 305 | 267 | 51 | ||
会社 | 35 | 9,156 | 1,703 | 10 | 9 | ||
その他の法人 | 211 | 44,206 | 739 | 290 | 112 | ||
個人 | 187 | 17,397 | 41,373 | 17,572 | 53,589 |
厚生労働省「医療施設動態調査」
(平成30年11月末概数)
病院の機能分類を見ていこう
病院は、医療法によって機能別に区分されています。
それぞれがもつ機能や役割について、さらに理解を深めましょう。
特定機能病院
高度医療の提供、医療技術の開発・評価、研修等が可能な病院。基本的に他の医療機関から紹介された重症の患者さんを中心に診療する。国で定められた診療科のうち16科以上、400床以上の病床数を持つ。地域医療支援病院
紹介患者さんに対する医療提供や、医療機器の共同利用の実施などで地域のかかりつけ医を支援する。紹介率80%、病床数200床以上で研修体制が整備されるなどの要件を満たし、都道府県知事によって承認された病院。
回復期リハビリテーション病棟 脳血管疾患、大腿骨頸部骨折等の患者さんに対してADLの向上を目指し、リハビリテーションを集中的に行う。回復期リハビリテーションを要する状態の患者さんが80%以上入院している病棟。緩和ケア病棟(病床) 積極的な治療ができなくなった、終末期のがんやエイズの患者さんとその家族の苦痛を和らげることを目的とした病棟。患者さん・家族のQOL向上のために、専門家、ボランティアがチームで協力しケアを行う。 |
![]() |
病院の施設認定もチェックしておこう
病院の施設が満たしている基準や、第三者から受けている評価も病院を知る指標となります。多くは、外来入り口等に掲示されています。
日本医療機能評価機構認定病院
財団法人日本医療機能評価機構の審査を受け、認定された病院。診療の質、看護の適切なケアなどの各項目について細かく評価が行われる。認定証の有効期間は5年間。審査項目は改定が繰り返されており、最新のものはVer.6.0。また、機能種別版評価項目では3rdG:Ver.1.1〜がある。臨床研修指定病院
研修医の受け入れを行うことができる病院。厚生労働省によって審査、指定される。原則として多くの診療科があり、厳しい条件をクリアする必要がある。DPC対象病院
医療費を『包括評価方式(DPC対象)』という医療費制度で計算してよい対象となる病院のこと。対象となるための基準は、十分な医師や看護師の配置、手術体制や集中治療室の設備、画像や病理診断等の設備・人員の確保などが必要であり、またその高度な医療水準の維持が要求される。従来の『出来高払い方式』とは異なり、患者さんの病気や病状をもとに、処置などの内容に応じて定められた1日当たりの定額の点数を基本に医療費を計算する新しい方法を取り入れている。新しい用語もチェックしておこう
2025年を目途に、高齢者が住み慣れた地域で自分らしい暮らしを最後まで続けられるよう、医療・介護・予防・住まい・生活支援が包括的に確保される体制のこと。国主導ではなく市町村や都道府県が主体的に、地域の特性に応じて作り上げていくことが求められている。
■病床機能報告制度改正医療法に基づき、一般病床・療養病床を有する病院・有床診療所を対象に2014年度から始まった制度。病床機能の区分として、高度急性期・急性期・回復期・慢性期(長期療養)の4つがあり、いずれに該当するか各医療機関が届け出る。
■医療事故調査制度2015年に医療事故の原因究明と再発防止を目的として創設された制度をいう。調査対象となるのは、全国のすべての病院・診療所・助産所で、診療中に起きた『予期せぬ死亡事故や死産』。事故は発生した場合、医療機関は第三者であるう医療事故調査・支援センター(日本医療安全調査機構)へ届け出たうえで、院内で自己調査を実施し、調査結果を遺族とセンターに報告することとなっている。
病院についての基礎知識、
あるとないとでは大きく変わる!
ひとことで「病院」といっても、実は機能や開設者によってさまざま。このことを知っておくことで、就職先を選ぶ時の視点もちょっと変わってくるかもしれないね。
Question
この機能分類わかるかな?
これで随分病院について詳しくなれた気がするね。
その知識をふまえて、次回のテーマ STEP4「資料請求しよう」に進もう。
どのように情報を集めるか、資料請求のマナーは? などなど情報収集のコツと
ポイントを教えちゃうよ。お見逃しなく!