Report6
『PNS』とは
パートナーシップ・ナーシング・システムといい、対等なパートナー同士が2人1組で複数の患者さんを受け持ち、その成果と責任を共有する看護方式。福井大学医学部附属病院で開発され注目されている。
目的
対等な2人が補完し合い看護を提供することで看護サービスの質と安全性、効率性を確保する。
メリット
業務の効率化につながり1人の看護師に対する負担の軽減と、インシデントの減少が見られる。また後輩への技術伝承も手厚くスムーズに。
堺市立総合医療センター
http://www.sakai-city-hospital.jp/
nurse_call@sakai-hospital.jp
対等な2人がペアで看護提供と新人教育を行う。
平均在院日数の短縮や高齢化など医療を取り巻く現状が変化し、重症度も上昇する中、堺市立総合医療センターではさらなる看護の質の向上と医療安全を目指して、2014年3月よりPNSを導入した。
新人看護職の教育にあたっては、5年前から新人看護職員研修制度を導入している。これにより新人の知識・技術の習得はスムーズになっていたが、急性期病院としてより高いアセスメント能力や判断能力を求められていることから、2人1組で現場の新人教育にあたることもできる、フレッシュパートナー方式(下記Study2)を採用している。
新人の独り立ちへの不安軽減と先輩の負担軽減に。
PNSは新しい看護方式として徐々に広まっているが、その教育的効果も注目されている。まず、対等な2人が補完し合うことで、学び合い成長できる。また、新人は独り立ちにあたって、従来は軽症の患者さんから少しずつ担当をしており重症の患者さんとの関わりがなかなかもてなかった。しかしフレッシュパートナーとして先輩に同行することで、早くからさまざまな患者さんと関わることができ、その後の成長につながる。同病院では新人のインシデントの減少が見られており、今後は安全面での効果も期待されている。
Study 1
互いに足りない部分を補完し合えるペアを形成。
複数の患者さんを対等な2人のペアで受け持つ。そのパートナーを決めるにあたり、堺市立総合医療センターの場合は、自分に足りない部分を発表し、補完し合える関係になるよう配慮がなされている。2人で補い合いながら看護することにより、経験年数の長い人も学び合うことができ、看護の質向上と医療安全への効果が期待されている。Study 2
1年目はフレッシュパートナーとして学ぶ。
新人はフレッシュパートナーとして先輩同士のペアに加わり、常に2人からの指導を受けられる。勤務が合わなければ他の先輩看護師がつく。先輩にとっても2人で1人の後輩を指導することで、負担軽減につながっている。加えて1人の新人にプリセプターが配置され、メンタル面や困りごとのサポートに入っている。Study 3
二人三脚で看護することのメリットを知る。
PNSという新しい看護方式を導入するにあたっては、看護局全体で研修が行われたが、これを今後は新人研修に取り込んでいく予定になっている。PNSの基本的な考え方から2人で補い合うことのメリットなどを学ぶもの。時間を決めて、2人で簡単な作業を体験し、2人で動くということがどういうことなのかを知る演習も組み込まれている。先輩からひとこと
辻めぐみさん
'13年4月入職
泌尿器科・外科病棟勤務
いつもすぐそばに先輩がいてくれる安心感
1年目はフレッシュパートナーとして6年目と9年目の2人の先輩にパートナーになってもらいました。それ以外にプリセプターの先輩もついてくれたので、いつも近くに先輩がいて、心配なことはすぐに聞くことができました。先輩も私が自分で考えながら看護ができるように指導してくださるので、学びながら看護ができたと思います。
ランチを食べてリラックス
集合研修の後には、『昼どき学びどき研修』というランチョンセミナーが年に10回開催される。同期と一緒にお弁当を食べながら先輩によるミニレクチャーを聞き、交流を深めることができる。時には体操やゲーム形式も取り入れられ大盛り上がりになる。
座学だけではない学びの場
ただ講義を聞くだけではなく、グループワークや演習もある。シミュレーション人形を使っての聴診の演習では、これまで友達同士の正常音しか聴いたことのない新人たちは興味津々。人形から出る異常音を聴診し、真剣かつ楽しみながら学ぶことができた。