Report2
癒しの看護の研修とは
患者さんが心身ともに安らかな状態で療養生活を送ることができるように看護を提供すること。
目的
相手を思いやり、尊重し、いつも相手に関心を持ち、誠実な対応のできる看護師を育成すること。
メリット
癒しを追求し、自らの内面をも振り返ることができ、自律性が育つ。さらに集合研修で同期との話し合いも持てることから連帯感が生まれ、離職防止につながっている。
済生会松阪総合病院
http://www.matsusaka.
saiseikai.or.jp/
k-tsuji@matsusaka.
saiseikai.or.jp
「癒しの看護」を理念に掲げ患者さんの安楽を追求。
平成8年から『癒しの看護』を看護理念に掲げる、済生会松阪総合病院看護部。平成14年に三重県の事業として実施された『継続教育体制整備事業』を受け、『癒しの看護』を実践できる看護師育成プログラムに再構築した。まず、1~5年目までの経年別に看護師像(癒しの看護の段階)を策定し、能力レベル表を作成。目指す看護師像に近づけるようなさまざまな研修を組んでいる。評価は、技術・知識だけでなく、各自にとっての『癒しの看護』を考えるプロセスを大切にし、落ちこぼしをつくらないことを目指している。
OJTを重点的に行うことで病棟全体がレベルアップ。
プログラムは、途切れることなく一貫した教育ができるよう配慮。1~5年目まで、コミュニケーション研修、ケーススタディ、リーダーシップ研修、クリティカルケア研修、看護観のレポートという流れになっている。集合研修後のOJTも重視しており、OJT担当看護師やメンタル面を支援するサポーターナースたちが、個々に合った指導と評価を行う。集合研修での同期との触れ合いに加え、病棟での良好な関係性により離職も減っている。また、『癒しの看護とは?』と振り返ることが自律性を育てることにつながっている。
Study 1
リラックスしながら『癒しの看護』の基礎を学ぶ。
1年目の全職員が参加する野外研修が、毎年6月に行われている。2日目は看護職だけのコミュニケーション研修を開催。伝えることについて楽しみながら学び、グループに分かれ癒しの看護について発表をする。その後10ヵ月目にも自分の看護を振り返ってレポートを提出。成長度合いが分かるようになっている。Study 2
OJTでケーススタディをまとめて発表。
2年目には、『癒しの看護の研修』を実施。日々の患者さんとの触れ合いの中からケーススタディを行っている。12月にはその過程を振り返り、癒しの看護をテーマに各人がレポートにまとめて提出。各部署のOJT担当者からのアドバイスを受けて完成させる。発表会ではOJT担当者と看護部長からのコメントを受け、さらに看護を深めていく。Study 3
集大成として自己の看護観を振り返る。
OJTを重ねた5年目には、癒しの看護の研修の集大成として『私の看護観』をレポートにまとめる。書くことで自分の看護を客観的に振り返ることができる。6年目以降は、経験年数の長い先輩や、出産、育児を経験した先輩などから話を聞く『看護を語る会』も開催。癒しの看護を踏まえた新たな目標を見つける機会となっている。先輩からひとこと
駒田美穂さん
'10年4月入職
脳神経外科病棟勤務
根本的な研修でモチベーションを維持
働きはじめると、技術や知識に意識が集中してしまいがちですが『癒しの看護』という根本的な部分を考える場があることで、仕事へのモチベーションを保つことができました。
『癒し』について考えるのは難しいですが、研修のたびに初心に帰ることができ、やっぱり看護が好きなのだと再認識しています。
あゆみの会
1・3・6ヵ月と定期的に新人の交流会が開かれる。直属の上司がいない空間で、お茶やお菓子をいただきながら、近況報告や日頃の仕事の悩みを話し合える。ついお菓子を食べ過ぎてしまうけれどストレス発散と励まし合えるいい機会と大好評。
リフレッシュ研修
病院内スタッフが、誰でも参加できるリフレッシュ研修。3年前から取り入れたヨーガ研修は、予想に反して男性看護師や医師も参加する人気講座となっている。気持ちよくて眠ってしまう看護師もいるが、それは『瞑想中』ということにしているのだとか。