Report4
小倉記念病院内専門看護師とは
循環器看護、脳神経外科看護、がん看護、救急看護について、現場で役割モデルとなり専門性を発揮できる看護師。効果的な看護の提供と院内での指導、相談、調整役として看護実践できる自律した看護師。
目的
先駆的な治療を必要とする重症度の高い患者さんを多く抱える病院であることから、多職種との連携や、多様化する家族ニーズ等に対応できるリーダー看護師を育成し看護の質向上を目指している。
メリット
関わってきた分野について改めて基礎から系統立てて学べることから、日々の看護に役立ち自信となる。認定看護師への動機付けにも。
小倉記念病院
tamai-t@kokurakinen.or.jp
キャリアの見える化でモチベーションを高める。
小倉記念病院看護部では、’96年よりクリニカルラダーを導入している。ラダーⅤまで進んだ人のキャリアの選択肢として、従来はジェネラリスト、スペシャリスト(専門看護師、認定看護師)、看護管理者という3つが設定されていたが、それらに加え’09年よりエキスパート(達人ナース)としての院内専門看護師を認定する制度がスタート。現在、循環器看護、脳神経外科看護、がん看護、救急看護の4分野で院内専門看護師を養成している。基本的に救急看護は2年間、その他は3年間。月2回ペースで講義が行われる。
現場で得た知識を体系づけさらに専門性を強化する。
受講資格はクリニカルラダーⅣ以上で、当該分野での経験5年以上などの項目があるが、院内専門看護師になることを「自ら希望している」ということも重要な項目のひとつ。現在1期生、2期生合わせて計45名が受講しており、第1号の誕生は来年度を予定。講義は、勤務終了後の時間帯に開催され、出席できないメンバーはDVD視聴もできる。「当院の強みである分野の看護をしっかり体系づけて学ぶことができます。将来的には全体の1割の看護師に取得してほしいです」と、看護部教育担当部長の里田佳代子さんは話している。
Study 1
基礎を改めて学び専門分野の基盤を固める。
最初の1年間は4分野共通の基礎コースとなっており、人間理解、リーダーシップ、看護研究、専門看護活動、フィジカルアセスメントを5つの柱として学んでいく。ラダー別の研修で、すでに学んだことをレベルアップした内容構成で、さらに全体を体系づけて学ぶことができる。基礎コースは3年ごとに開催。Study 2
ディスカッションは他分野との交流にも。
基礎コースも、その後2年目から分かれて行われる専門講座も、座学だけでなくディスカッションの機会がある。異なる病棟のスタッフも交えて行うディスカッションは、他の診療科について知ることができるだけでなく、看護師同士の交流の場ともなっている。基礎コースではコーチングの講義もあり、参加者からも好評だ。Study 3
内外から専門家を招き専門性の高い講義が展開。
2年目以降は専門に分かれ、分野特有の疾患などに関する講義を受ける。医師や認定看護師はじめ外部から専門家を招いての講義も多数。2年目が終わると、院内の当該病棟やICU、CCU等での『実習』を行い、レポートを提出してコース自体は修了となる。その後、院内専門看護師認定審査へと進む。先輩からひとこと
秋永弘美さん
'02年4月入職
SCU勤務
スキルアップし、看護観も深まった
講義内容が凝縮されていて現場で大変役立ったと感じています。基礎コースのリーダーシップや看護研究等の講義では、自分のことを改めて振り返ったり、さまざまな書籍に目を通すきっかけとなり、看護観が深まりました。専門コースでは脳神経外科を選択しましたが、ベッドサイドでの業務や指導に活かすことができています。
メイク研修
毎年新人看護師に人気の研修のひとつ。自己流ではつい、きついメイクになりがちなところを、医療現場でも違和感のないナチュラルメイクを、化粧品メーカーの美容部員が指導してくれる。脱『学生メイク』を目指してたくさんの新人看護師が参加する。
中途採用者研修
専門性に惹かれて入職する中途採用者も多い小倉記念病院。中途での入職は、新卒とは違う悩みもある。そんな人たちを支援する目的で、『先輩中途採用者』が自分の経験を語り、新しく中途採用された看護師が聴く場を設けた。参加者からは「安心した」という声が続々。