先輩が語る分野別 看護の魅力

先輩が語る分野別 看護の魅力

「どんな看護師になりたいのか」を自分自身に何度も問いかけながら、就職活動を進めていく皆さん。先輩たちも悩みながら自分の理想の看護師像を思い描き、看護師として活躍の舞台に旅立っています。さまざまな分野で活躍している先輩たちに各診療や看護の特徴や魅力、印象に残っている言葉を語ってもらいました。先輩たちの声を参考に、ここからあなたの理想の看護師像を見つけてください。

Interview 34 - 神経難病看護
生命の尊厳を最大の使命と考え、
『ここに入院してよかった』と思ってもらえる
看護を提供する。

患者さんの思いを見つけ出す『観察力』と『気づき』が重要。

 「どんなに意思疎通が難しくても患者さんには聞こえているし、見えていることを忘れずに声かけをしています」と語る三元友香里さんは、日本難病看護学会認定の『難病看護師』である。難病看護師とは、難病看護に関する幅広い知識と療養生活支援技術を有していると認められた者を言い、三元さんは平成25年に一期生として学会から認定された。勤務している狭山神経内科病院に入院している患者さんは、筋萎縮性側索硬化症ALSという神経難病を抱えた方が大半で、療養が長期化するため24時間体制での人工呼吸器の使用が必要になる。と同時に進行性の運動障害を来すことが多く、重症な合併症も併発しやすいため、同院のような専門施設での長期療養・医療管理ができる病院を求めて、遠くから難病患者さんとそのご家族が入院を希望されて来る。「急性期病院では入院期間に制限があり、ご家族はすぐに次の転院先を探さなければならないのですが、ここは長期療養していただける環境にあるので安心してください」という気持ちで迎えていると三元さん。神経難病の患者さんとご家族には無くてはならない病院である。また、自分で思うように動くことが難しい患者さんにとって、枕の位置や腕の角度が数ミリ単位で違うことが大きな影響を及ぼすという。三元さんがいつも心がけているのは、「自分がこうされたら、家族がこうされたら……という視点を持つこと」だと言う。神経難病看護には、自分で意思を伝えることが困難な患者さんのちょっとした変化を見つけ出す『観察力』が特に重要だとも語ってくれた。そのために日頃からコミュニケーションを深め、変化に『気づく力』を養っている三元さんだった。

透明の文字盤を通じて一つ一つの文字が
文章として繋がった時の感激は忘れられない。

 三元さんは、病気の進行によりコミュニケーションが難しくなっている患者さんとは、透明文字盤や目の合図(瞬目)で意思疎通を図っているという。透明文字盤には、すべての『あいうえお』と『ありがとう』『腕伸ばして』などの短文が数種類、透明のアクリル板に印字されており、患者さんの目の前にかざしながら語りかけて会話する。患者さんは看護師の問いかけに対して、『瞬目』でパチリと返事をしてくれるか、1字ずつ文字を追って思いを伝えてくる。その目で追った一字一字が文章として繋がった時には、両者とも感激するという。また時には「患者さんの中には、TLS(Totally Locked-in Stateの略)の状態、言い換えると閉じ込め症候群の一歩手前の方もいらっしゃって、言葉を表出できないというもどかしい状態になられる患者さんもいらっしゃいます。でもベッドサイドへ行くと、微かに動く目だけで私たち看護師を追ってこられて、こちらは何か視線を感じる時があるんです」と三元さん。そんな時には『何かある?』と問いかけ、透明文字盤を使って思いを読み取るとともに、不快になってそうな箇所を一通り点検して、心電図も確認。患者さんに関する過去の情報と今出ている現象を組み合わせて、推察を繰り返す。痛みなどはモニターの数値の上下によって確認することもあるという。このように変化に気づき根拠を探し、医師への報告をすることで早め早めの発見が可能となる。患者さんの近くに居て優しいだけでは看護という仕事は務まらない。そして患者さんの思いに耳を傾ける看護によって、信頼関係もより一層深まっていく。
 最後に『私、あんまり優しくないんですよね、けっこう厳しいです、多分』と笑う三元さんだが、患者さんにとって甘い言葉や態度で接することが看護師としての優しさではなく、一見優しくはないかもしれない言葉の中に、本当にその人のことを思う優しさがあり、患者さんが抱えている問題を解決する看護師としての姿勢が伺える。誰からも信頼を寄せられる三元さんの本当の優しさに触れた気がした。

三元 友香里さん

三元 友香里さん

2000年11月入職
4階(神経内科)病棟勤務

心に残るひと言

三元さんは、「人のために何かしたい」という思いを抱いて、事務職から看護職へと転職した。看護師になって間もない頃、先輩看護師のとったケアが忘れられないという。ある重症患者さんが亡くなる直前に、その先輩看護師は自分の夜勤の仮眠時間を割いて、「よく昔『かゆい、かゆい』って言ってたよね」と患者さんの洗髪を始めたのだ。三元さんは、患者さんのために最期まで尽くす先輩の姿がとても心に残っている。自分も患者さんの最期にきちんと向き合う看護師でいようと決めた出来事だった。

カンファレンスの様子

患者さんの情報を看護師はじめリハビリ等のスタッフで共有し、個別性を大切にしたケアを立案する。

1日のスケジュール

9:00
申し送り
9:30
患者ラウンド、観察、検温、口腔ケア、食間水注入、B.B、処置
11:30
経管栄養注入
12:30
休憩
13:30
排泄ケア、オムツ交換、体位変換
14:30
患者ラウンド、観察
15:00
カンファレンス、食間水注入
15:30
体位変換
17:00
申し送り

※適宜、呼吸ケア・アセスメントにて吸引。2時間ごとの体位変換。

狭山神経内科病院

狭山神経内科病院

〒350-1314 埼玉県狭山市加佐志65
担当/総務課 坂井
TEL(04)2950-0500(代)
http://www.sayama-neuro.jp
e-mail : sayama_kango@tmg.or.jp


埼玉県狭山市で昭和63年にオープンした神経内科の専門病院で、平成15年に現在の加佐志へ新築移転。筋萎縮性側索硬化症ALSをはじめとする神経筋難病患者や脳血管疾患、脳腫瘍、脳外傷、脊椎損傷、気管切開・人工呼吸器の管理が必要な方など身体障害者手帳1-2級の重度障害者の長期入院療養を必要とする患者さんを受け入れている。特に人工呼吸器の管理に関しては、慢性期に移行した患者さんの受け入れ施設が少ないという日本の現状の中、退院・転院を指導強制されることなく、安心して長期療養できる病院として『特殊疾患入院施設承認病院』の認定を受けた数少ない病院である。地域に関係なく遠方からも患者さんが入院してくる。臨床経験の豊富な専門医師のもと、神経内科看護のエキスパートナースとST・PT・OT・MSWなどのコメディカルスタッフが、患者さんとご家族から安心して選んでいただける病院としての役割を果たしている。

ここの看護に注目!

ALSなどの神経難病の患者さんが多く、90%超の患者さんが人工呼吸器を装着している。病気の進行によりコミュニケーションが難しくなってくるため、透明文字盤や目の合図で意思疎通を図ることが多い。看護師には自分から意思を表出しづらい患者さんに対する観察力と、安全・安楽な体位変換およびポジショニング、人工呼吸器管理、個別性あるコミュニケーション力が求められる。

主要疾患:
筋萎縮性側索硬化症ALSをはじめとする神経筋難病、脳血管疾患、脳腫瘍、脳外傷、脊椎損傷 など

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