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■ SBチューブ

Sengstaken Blakemore Tubeの略で、静脈瘤破裂時に食道バルーンに30〜40mmHgの内圧をかけて圧迫止血を行う一時的処置。胃バルーンは、胃外への脱出予防のために膨らませる。挿入中の合併症として、食道潰瘍、破裂、穿孔、再出血がある。

■ SBチューブ挿入時のケア

① 食道粘膜の壊死防止のため、4〜6時間ごとに数分間食道バルーン圧を下げる。
② 誤嚥性肺炎を予防するため、唾液はティッシュペーパーで取り除くか適宜吸引する。
③ 患部に牽引力や刺激が加わらないように安静とする。
④ 挿入時間は原則として24〜48時間。
⑤ 口腔内の清潔に留意する。

■ 腸閉塞症（イレウス）

機械的イレウス		機能的イレウス
腸管の屈曲・ねじれなどによる腹腔内癒着や腸壁の腫瘍などによって腸内容物の通過障害を起こしたもの。		腸管には器質的な病変がなく、腸の蠕動運動の異常により腸内容物が停滞することによって通過障害を起こしたもの。
単純性（閉塞性）イレウス	複雑性（絞扼性）イレウス	麻痺性イレウス	けいれん性イレウス
血行障害を伴わない。	血行障害を伴う。	腸蠕動が麻痺する。	腸管がけいれんする。
開腹手術後や腸管の炎症による癒着、腫瘍、瘢痕、結石、硬便、寄生虫などの腸管内異物など。	索状物などによる絞扼、軸捻転症、腸重積症、ヘルニア嵌頓。	全身麻酔後、手術操作後、腹膜炎、薬剤性、神経原性など。	外傷、腸管支配神経の傷害、鉛・モルヒネ・ニコチン中毒など。

■ 減圧療法を受ける患者の看護

（1）目的

腸管内容物の吸引によって腸管の減圧をはかり、腸管壁の浮腫を軽減して閉塞状態を解除する。

（2）看護

① 十分に説明する。

② チューブ挿入時、透視下でトライツ靭帯を越えて挿入することができれば、あとは腸蠕動によって自然輸送されるため、50cmの余裕をもたせた状態で固定しておく。

③ 排液量を測定する。
排液は便臭がすることもあるため、密閉型の排液バッグを用いたり、十分な換気や空気清浄機を用いて環境を整える。減圧効果の目安は1日量が200mL以下。

④ 減圧療法中は禁飲食にして、IVH（高カロリー輸液）が行われる。

⑤ 口腔内を清潔に保ち、誤嚥性肺炎を防ぐ。

■ 心タンポナーデの病態

心臓は、2枚の心膜に包まれており、その2枚の膜の間のことを『心嚢』または『心膜腔』という。
その中には、約10〜20cc程度の心嚢液で満たされているが、なんらかの原因によって、心嚢液が大量あるいは急速に増加した場合、心嚢内圧が上昇し心臓が十分に拡張することができない状態となる。
その結果、心臓はポンプとして機能できなくなり、急速にショック状態となる状態を心タンポナーデという。
進行すると急速に死に至るため、心膜腔穿刺をし心嚢液を排出する。それでも無効な場合は、開胸術を行う。

■ 換気障害

■ ブラッドアクセス

（1）内シャント

長期透析の場合に用いられる。橈骨動脈と橈側皮静脈間を吻合する。原則として利き手でない方に造設する。

（2）外シャント

主に緊急透析や透析導入期に用いられる。手術によって外シャントを造設する方法と、総腸骨動脈内に脱血用カテーテルを留置する方法がある。

■ 腹膜透析（PD）の管理

　腹膜透析とは、腹腔内にカテーテルを留置し、注入する灌流液の浸透圧差を用いて水分と溶質を除去する方法。血液透析設備のない施設や緊急性の高い急性腎不全などで用いられているが、末期腎不全に対して在宅での施行も普及しつつある。

（1）利点

① 特別な装置を必要とせず、操作が簡単である。

② 抗凝固薬を必要としないので出血傾向が少ない。

③ 血液を介さないため、シャントトラブルをはじめ、他の合併症発生の頻度が少ない。

④ 中分子量以上の有害物質の除去率がよく、水分や電解質の調整にも優れている。

⑤ 自己管理が十分であれば、軽い仕事など社会復帰が可能である。

（2）欠点

① 腹膜炎を引き起こしやすい。

② 蛋白質の喪失が大きい。

③ 長時間かかり、患者の負担が大きい（CAPDはこの点を改良）。

④ カテーテルが閉塞しやすい。

⑤ 透析液中のブドウ糖を吸収し、肥満・高血圧・血糖値上昇になりやすい。

■ 看護

(1) CAPDに関しては、バッグ交換時の無菌操作等、取り扱い方について指導する。

(2) 腹膜炎症状や低蛋白血症に留意し、自己観察の方法を指導する。

(3) 食事指導：総カロリーからCAPD液のエネルギーを引く。

(4) 運動指導：腹部を圧迫したり、ねじったりする運動は避ける。
汗をかいた後はカテーテル出口部の感染予防のため、消毒をする。

(5) 入浴指導：カテーテル出口部に保護カバーを装着すれば、入浴は可能である。自宅ではカバーをはずしてもよいが、なるべくきれいなお湯で入浴することが望ましい。

全身性エリテマトーデス（SLE）は、多彩な症状があり、下記の項目のうち、4項目以上をみたすと診断される。

1．顔面紅斑

2．円板状皮疹

3．光線過敏症

4．口腔内潰瘍（無痛性で口腔あるいは鼻咽腔に出現）

5．関節炎（2関節以上で非破壊性）

6．漿膜炎（胸膜炎あるいは心膜炎）

7．腎病変（0.5g／日以上の持続的蛋白尿か細胞性円柱の出現）

8．神経学的病変（痙攣発作あるいは精神障害）

9．血液学的異常（溶血性貧血または4,000／mm3以下の白血球減少または1,500／mm3以下のリンパ球減少または10万／mm3以下の血小板減少）

10．免疫学的異常（抗2本鎖DNA 抗体陽性、抗Sm抗体陽性または抗リン脂質抗体陽性（抗カルジオリピン抗体、ループスアンチコアグラント、梅毒反応偽陽性）

11．抗核抗体陽性

■ 疼痛コントロール

痛みに対しては、鎮痛薬の全身与薬（携行与薬、非経口与薬：経直腸、硬膜外、注射、神経ブロック、パッチ）、放射線療法、理学療法、心理療法などが単独または併用して行われる。

（1）鎮痛薬使用の指標

WHO 3段階がん疼痛治療ラダー

　癌性疼痛コントロールでは痛みの残存または増強に応じて、痛みの程度の段階を上げていく。
　痛みの強さに応じて、非オピオイド性鎮痛薬、弱オピオイド性鎮痛薬、強オピオイド性鎮痛薬が使用される。また、これらの薬剤に鎮痛補助薬の併用も考慮される。
　オピオイドとは、中枢神経や末梢神経にあるオピオイド受容体（オピオイドレセプター）と結合して鎮痛効果を示す化学物質をいう。
　鎮痛補助薬とは、鎮痛薬と併用することによって鎮痛効果を高め、特定の状況下で鎮痛効果を示す薬物をいう。鎮痛補助薬には、三環系抗うつ薬、抗けいれん薬、局所麻酔薬、抗不整脈薬、NMDA受容体拮抗薬、中枢性筋弛緩薬、コルチコステロイド、ベンゾジアゼピン系抗不安薬、ビスホスホネートなどがある。

		薬剤名	主な薬品名
非オピオイド		【非ステロイド性消炎鎮痛薬（NSAIDs）】 ジクロフェナクナトリウム ロキソプロフェンナトリウム水和物 インドメタシン アスピリン 【非ピリン系解熱鎮痛薬】 アセトアミノフェン	ボルタレン ロキソニン インドメタシン アスピリン 　 ピリナジン	非麻薬性
オピオイド	弱	塩酸ペンタゾシン 　 トラマドール塩酸塩	ソセゴン（内服薬） ペンタジン（内服薬） トラマール（内服薬）	非麻薬性
		コデインリン酸塩	コデインリン酸（内服薬）	麻薬性
	強	ブプレノルフィン塩酸塩 ブプレノルフィン	レペタン（注射薬） ノルスパン（貼付剤）	非麻薬性
		モルヒネ塩酸塩 　 モルヒネ硫酸塩水和物 フェンタニル フェンタニルクエン酸塩 オキシコドン塩酸塩水和物	アンペック（坐薬） オプソ（内服液） MSコンチン（内服薬） デュロテップ（貼付剤） アクレフ（口腔粘膜吸収剤） オキシコンチン（内服薬）	麻薬性

（2）WHOの疼痛軽減治療の目標

第1段階：痛みに妨げられない睡眠時間の増加。
第2段階：安静時の痛みの消失
第3段階：起立時・体動時の痛みの消失

（3）癌性疼痛治療の5原則

① 経口与薬を基本とすること（by mouth）
② 痛みの強さに応じた効力の鎮痛薬を選ぶこと（by the ladder）
③ 患者ごとに適量を求めること（for the individual）
④ 時刻を決めて与薬すること（by tha clock）
⑤ 以上4原則を守った上で、細かい配慮（以下a〜h）を行うこと（attention to detail）

a）痛みの原因と鎮痛薬についての正しい情報を提供すること

・除痛効果の判定者は患者であり、医療側の判断は患者の表現に基づく。

・治療チームの一員としての役割を患者が理解できるようわかりやすく説明し、協力を求める（インフォームドコンセント）。

b）患者の状態の変化を監視し、治療効果の判定を頻回に行うこと

c）強い痛みから一つずつ対応していくこと

・それぞれの痛みが同じ機序で発生しているとは限らない。

・一つの痛みが軽くなると、他の痛みが強くなったり、新しい痛みが発生することもある。

d）鎮痛薬の副作用に対する防止策を確実に実施すること

e）必要に応じて鎮痛補助薬を併用すること

f）禁忌でない限り、NSAIDsを併用すること

g）不眠の解消をはかること

h）患者の心理面の変化にも配慮すること

（4）レスキュードーズ

レスキュードーズとは、基本となるオピオイドが定期与薬されている状態で、痛みが残存または出現したときに追加与薬できる、速放性（即効性）のオピオイド剤をいう。

■麻薬性鎮痛薬（モルヒネ）使用時の看護

　モルヒネには強力な鎮痛作用があるため、癌による間欠的な痛みや内臓痛、鈍痛に対して効果がある。使用により痛み・不安・不快・緊張が消失し、多幸感を伴うため、依存症の原因となる。
　主な作用として、便秘（腸蠕動抑制）、悪心・嘔吐、眠気、せん妄があり、過剰使用の場合は呼吸抑制が生じる。
　便秘に対しては、予防的に下剤を使用したり、摘便や浣腸などを行う。悪心・嘔吐に対しては、制吐薬を使用する。